甲府市自治基本条例をつくる会

自治基本条例
○条例本文(案)
前文(案)
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こうふの自治基本条例(たたき台)

第1章 総則

第1条 目的
この条例は、市民の参画と協働によるまちづくりに関する基本的な事項を定めることにより、自治の主権者である市民の主体的なまちづくりを推進し、地方自治の本旨に基づく「市民自治」の実現を図ることを目的とします。
第2条 基本理念
「地方自治の本旨」である住民自治と団体自治の考え方にのっとり、市民自治の主権者である市民と、その信託を受けた市議会、及び市長(職員)とが、それぞれの果たすべき責任と役割を分担しながら、相互に補完協力してすすめる協働を基本理念として、市民の福祉の充実増進を推進します。
第3条 用語の定義
①市民
 市内に住み生活し、活動する個人または、市内に事務所または事業所を有する法人その他団体をいいます。(市内に所在する企業への通勤者や学校への通学者なども含みます。)
②市
 地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する普通地方公共団体としての甲府市をいいます。議会及び市の執行機関によって構成される自治体をいいます。
③市政
 市が主体となって行う行政活動をいいます。
④協働
 市民、市議会、及び市の執行機関が、「甲府市の協働の基本方針」に則り、それぞれの立場や特性を尊重し合って、自覚と責任を持って相互に補完し、地域課題の解決の為に協力・協調する関係をいいます。
⑤参画・参加
 市民が、市政運営の条例案や政策の考察立案から実施及び評価に至るまでの過程において、主体的に参加し意思決定に関わることをいいます。
⑥まちづくり
 住みよいまち・豊かな地域社会をつくるための道路等の空間創造と、文化・環境・自然等に配慮した市民のための暮らしの創造をいいます。
⑦コミュニテイ
 地域社会の中で、地縁または共通の公共的関心事(テ―マ)によって繋がりを持ち、民主的な組織運営の下で、互いに助け合い共通目的を達成するために結ばれた組織及び団体をいいます。
⑧NPO
 民間の非営利組織=事業の利益を構成員や出資者に分配することなく、団体の運営や発展の資金に活用する団体で、継続的・自発的に社会貢献を行う民間団体のことです。
⑨執行機関
 市長・教育委員会・選挙管理委員会・公平委員会・監査委員・農業委員会・固定資産評価審査委員会をいいます。

第2章 基本原則

自治の原則

第4条 参加・協働の原則
市民は、年齢・性別・国籍を問わず自らの意思に基づいて市政運営に参画する権利があります。また、参画しないことで、不利益な扱いは受けません。
2 市民、市議会及び執行機関は、自治を推進するため、参加・協働することを原則とします。
3 三者は対等な関係であり、信頼関係を基調に基本的人権を尊重して自治を推進します。
第5条 情報の共有の原則
自治の理念を実現するため、情報を積極的に共有します。
2 市民は市の仕事や議会活動について、法の許す範囲において必要な情報の提供を受け、自ら取得する権利を保障されます。
第6条 法令の自主解釈権と条例の自主策定権
市は、地方自治の本旨及び自治の基本理念にのっとり、自主的に法令の解釈及び運用を行うことを原則とします。
2 市民・市議会・市は協働して条例を策定する権利があります。

市政運営の原則

第7条 市政の範囲と協働
市は、国及び山梨県や他の地方公共団体が実施すべき事務並びに、市民及び市民団体等が、自ら行うべき事務を除く事務を行うものとします。
2 市は、前項に規定する事務を行うに当たっては、市が自ら実施しなければならない事務を除き、市民団体等と協働により行うように努めなければなりません。
第8条 説明責任
市は、事業の企画立案・実施・評価の各段階において、内容や経過,効果や課題など、市民に分かり易く説明しなければいけません。
第9条 財政自治の原則
市は、自立した自治体運営を行うため、自らの判断と責任において、財源を確保し、使途を決定する財政自治を原則とします。

第3章 市民・事業者の権利・責務

第10条 市政に参加する権利
市民は年齢・性別・国籍を問わず、主権者として等しく市政に参加する権利があります。
2 市民は、市政への参加または不参加にかかわらず、平等な扱いを受けます。
第11条 行政サービスを受ける権利と、負担の分任の責務
市民は、行政サービスを等しく受ける権利があります。
2 その能力に応じた負担を、分任する責務があります。
第12条 知る権利
市民は、市の保有する情報について、知る権利があります。
第13条 児童の権利
市は、児童が健やかに育つ環境をつくる責務があります。
2 児童は、社会の一員として、自治の担い手の権利があります。
第14条 自己情報に関する権利
市民は、市が保有する自己の情報について、開示及び適正な措置を請求する権利を保障されます。
第15条 市民の責務
市民は市政への参加に当たっては、自らの発言と行動に責任を持たなければなりません。
第16条 コミュニティ団体の役割と責務
地縁組織である自治会や公益団体であるNPOなどのコミュニティ団体は、共に市民自治の拡充団体として、市政運営の大きな担い手の役割をもっています。
2 必要に応じて市民と連帯・協力して行政と協働します。
3 市長は、まちづくりの基本理念に則り実施される地域の主体的なまちづくり活動を、別途条例に基づき支援しなければなりません。なお、まちづくりの活動団体は、会員の自主性及び自立性を尊重し、民主的な組織運営と団体活動の充実・拡充に努めなければなりません。
第17条 事業者の権利・責務
事業者は、市政に参加・協働する権利及び行政サービスを受ける権利があります。
2 市政の参加に当たっては、自らの発言と行動に責任を持たなけれがなりません。
第18条 負担の分任責務
事業者は、行政サービスに伴う納税等の負担を、分任しなければなりません。

第4章 議会・議員

第19条 議会の役割
議会は、市民の信託をうけ、意思決定機関としての役割を果たすとともに、市政の運営に関する調査及び監視を行います。
第20条 議会の責務
議会は、情報の公開と、市民に開かれた議会運営に努める責務があります。また、安心・安全・安定や市民の福祉の向上に努める責務があります。
第21条 議会活動の基本に関する条例
議会は、本条例の基本理念を尊重し、議会活動の基本に関する条例を別に定めるように努めなければなりません。
第22条 議員の責務
議員は、議会において、全ての市民の利益のために発言し行動しなければなりません。
2 議会での責務を遂行して市民自治を推進するために、地域学習や地域住民との意見交換会など自ら自己研鎮に努め、誠実に職務を執行しなければなりません。

第5章 市長及び執行機関・職員

第23条 市長の責務
市長は、市民の信託に基づき、本条例の基本理念を尊重し、市政全体の総合的な調整をし、その他権限を行使し、市民の福祉向上のため、公正かつ誠実に市政運営に当たらなければなりません。
第24条 執行機関の責務
市長以外の執行機関は、市長の総合的な調整の下で相互に連携し、公正かつ誠実にその所轄する職務を執行し、また管理する責務があります。
第25条 職員の責務
執行機関の職員は、法令・条例等を遵守し、全体の奉仕者として、その職務を公正かつ誠実に執行しなければなりません。
第26条 個人情報の保護
市は第14条に規定する自己情報に関する権利を保護するとともに、市の保有する個人情報の適正な管理を行うため、個人情報保護に関し、必要事項は別条例で定めます。

第6章 市政運営

第27条 市政運営の基本原則
市は、市民と市の役割及び責務を明確にし、市民と市の間における公共への関わり方及び公共サービスのあり方について、多様性と選択肢のある地域社会の実現に努めます。
2 市は前項に規定する社会の実現を図るため、協働の仕組を構築するとともに、地域の実情に合わせたまちづくりに努めます。
3 市は、積極的に情報公開を行い、より公平で透明な市政運営に努めます。
4 市は、社会経済情勢の変化及び多様性、高度化する市民ニーズに的確に対応するため、効率的な行財政運営に努めると共に、市民満足度の高いサービスの提供に努めます。
第28条 基本構想及び実施計画等の位置付け等
総合的かつ計画的な市政運営を行うため、市の最上位計画として、市議会の議決を経て基本構想を定めるとともに、基本構想の実現を図るため施策を総合的かつ計画的に推進するための計画等(以下「実施計画等」という)を策定するものとします。
2 基本構想及び実施計画等は、この条例に規定する自治の基本理念にのっとり、定められなけれぱなりません。
第29条 基本構想及び実施計画等に基づく市政運営
市は、基本構想及び実施計画等並びに第32条に規定する行政評価に基づいた予算編成及び執行に努め、健全な市政運営を図らなければなりません。
第30条 行政組織
行政組織は、市民に分かり易く、効率的かつ機能的なものであるとともに、社会経済情勢の変化及び市民ニーズに的確に対応するよう編成されなければなりません。
第31条 行政手続
市は、市政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、市民の権利利益を保 護するため、行政手続に関し、必要事項は別条例に定めます。
第32条 行政評価
市長は、市政の成果及び達成度を明らかにし、効率的な市政運営を図るため、事業実施における事前、中途及び事後の自己評価を実施し、その結果を公表しなければなりません。
2 事業の実施評価については、中央と周辺地域のバランス状況を入れなければなりません。
第33条 財政運営の基本
市は、市民福祉の向上のため、自立的な財政基盤と健全な財政運営に努めるとともに、最小経費で最大の効果をあげるように努めなければなりません。
2 市は、財政状況を、期別に公表しなければなりません。
第34条 監査
市は、効果的で効率的な行政運営を確保するため、第三者による監査の実施に努めます。
2 財務に関する監査結果等を踏まえ、必要な措置を講じなければなりません。
第35条 附属機関等への参加・協働
市は、審議会等の附属機関及びこれに類するもの(以降「附属機関等」)の委員には、公募の委員を加えるように努めなければなりません。
2 構成員については、男女比や他機関との重複等を考慮しなければなりません。
第36条 市民要望の取扱い
市の執行機関は、市民の市政に関する要望又は苦情について、誠実かつ迅速に対応するとともに、その結果について、速やかに回答しなければなりません。
第37条 危機管理
市民の生命・財産を守ることは、市の基本的責務であるとの認識に立って、市民や関係機関等との協力・連携等を図るとともに、災害その他緊急時に備え、総合的かつ機動的な危機管理の体制を確立しなければなりません。

第7章 公平と信頼の確保

第38条 市民意見表明制度
市は、条例の制定や改正・廃止、政策策定の中間と決定時には、広く市民に意見を求めます。
2 市は、市民からの提案を尊重します。
第39条 解職請求制度
選挙で信託した市長や市議会議員について、選んだ代表が不適当と思われたとき、地方自治法の規定に基づき、改選・解職を要求することができます。
第40条 住民投票
市長は、市政に係る重要事項について、住民の意思を反映するため、住民投票を実施することができます。
2 市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
第41条 住民投票の請求・発議
本市に住所を有する年齢満〇〇年以上の者は、市政に係る重要事項について、その総数の〇〇分の1以上の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票を請求することができます。
2 市議会の議員は、市政の重要事項について、議員の定数のO〇分の1以上の賛同を得て、市長に対して住民投票を発議できます。
3 市長は、市政の重要事項について、自ら住民投票を発議することができます。
4 住民投票に参画できる者の資格その他住民投票の実施に必要な事項は、それぞれの事案に応じて、別に条例で定めます。

第8章 国及び他の自治体との連携・協力

第42条 国及び山梨県との連携
市は、国及び山梨県と対等かつ協力の関係にあることに基づき、市民の福祉の向上のため、自らの権限を行使しなければなりません。
第43条 山梨県との連携
市は、県と連携する環境基盤整備、山・河川・道路の管理等における総合調整条例をつくらなければなりません。
第44条 他の自治体との連携
市は、積極的に他の自治体との連携協力を図り、共通する課題に対応し、その解決に努めなければなりません。
第45条 国際交流の推進
市は、海外の自治体との交流及び協力を推進するとともに、市民による公共的な国際活動への支援を行うことにより、相互理解の推進、共通する都市問題への取組み、地球規模での諸問題解決などに向け連携して取組みます。

第9章 基本政策

第46条 分野別基本条例の制定
市は、本条例を実施に移すために必要な分野別条例については、本条例の基本理念にのっとり、整合性に配慮して、別途基本条例を定めます。

第10章 条例の位置づけ

第47条 最高規範性
この条例は甲府市の最高規範です。市はこの条例に反する他の条例等の制定及び改廃、法令条例等の解釈及び運用を行ってはいけません。

第11章 条例の検証

第48条 検証委員会の設置
市はこの条例を実効あるものにするため、「こうふの基本条例検証委員会」(以下「検証委員会」といいます。)を置いて実施状況を検証します。
第49条 所掌事務等
検証委員会は、次に揚げる事項を行います。
 (1)この条例に規定する事項の実施状況の検証
 (2)この条例の改正に関する調査
2 検証委員会は、前項に規定する検証結果について、少なくとも年1回市長に報告するとともに、市民に公表しなければなりません。
3 市長又は市民は、検証委員会に対し、第1項に揚げる事項について、検証又は調査を求めることができます。
4 検証委員会は、第1項に規定する検証又は調査を行った結果、是正又は改正が必要と認めたときは、市長にその旨を勧告することができます。
5 市長は、勧告があった場合、その勧告を尊重しなければなりません。
第50条 選任等
執行機関は、第2条の基本理念に基づき、市民に開かれた方法で、検証委員会の委員を選任します。
2 検証委員の数は、15人以内とします。
3 前項に定めるもののほか、「検証委員会」の運営について必要な事項は、規則で定めます。
第51条 任期
検証委員の任期は、4年を越えないこととし、再任は2期までとします。

附則 条例の見直し

第52条 条例の見直し
市は、この条例の施行後4年を越えない期間ごとに、検証委員会・市議会などと協働してこの条例を見直し、その結果に基づいて必要な措置を講じます。

委任

第53条 委任
この条例に定めるものの他、条例の施行に必要な事項は規則で定めます。

施行期日

この条例は、平成〇〇年〇〇月〇〇日から施行します。