1 放射性物質に関する国の認識について
(1)震災後制定された法令により、放射性廃棄物の処分を想定していない市町村の廃棄物処理施設で放射性廃棄物の焼却や埋設等の処分を可能とし、排ガス、排出水中の放射性物質濃度を常時監視しないなど、震災以前の規制を緩めたことは、環境への放射性廃棄物の漏洩・拡散のリスクを高めることを許容したということでよいか。
その場合、その考え方は何か。
また、決定に至る議事録等を示されたい。
(1)回答
回答
東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性物質により汚染された廃棄物については、現行の放射線障害防止に係る規制(原子炉等規制法、放射線障害防止法)では対象としていないことから、放射性物質汚染対処特措法により、当該廃棄物の処理・処分を定めたものです。
検討に当たっては、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」(平成23年6月3日、原子力安全委員会)に基づき、原子力安全委員会がこれまでに示した、放射線防護の基本的考え方や、原子力施設から発生する放射性廃棄物の処分等に関する安全評価の考え方に即して、以下の目安を満足するような適切な処理・処分方法についてシナリオ想定に基づき評価を行いました。
① 処理に伴って周辺住民の受ける線量が1mSv/年を超えないようにする。
② 処理を行う作業者が受ける線量が可能な限り1mSv/年を超えないことが望ましい。ただし、比較的高い放射能濃度の物を取り扱う工程では、電離放射線障害防止規則を遵守する等により、適切に作業者の受ける放射線の量の管理を行うことが必要である。
③ 処分施設の管理期間終了以後、周辺住民が受ける追加被ばく線量が 0.01 mSv /年以下とする。
シナリオ評価により、8,000 Bq/kgの廃棄物を通常の処理方法で処理する場合、周辺住民よりも被ばくしやすい作業者でも、その被ばく線量は、1mSv/年を下回ることが確認されました(第3回 災害廃棄物安全評価検討会※1(平成23年6月19日))。また、最終処分場において管理期間了後、周辺住民が受ける追加被ばく線量が 0.01 mSv/ 年以下となることも確認されました。すなわち、8,000 Bq/kg以下の廃棄物については、特別な処理方法をとることなく、周辺住民・作業者のいずれにとっても安全に処理することができるということから、指定廃棄物の指定基準を 8,000 Bq/kgとしております。
なお、この基準は、IAEAミッションの最終報告書(2011年10月7日~15日)において、「放射性セシウム 8,000 Bq/㎏以下の廃棄物を追加的な措置なく管理型処分場で埋立てを実施することについて、既存の国際的な方法論と完全に整合性がとれている。」とされています。
また、平成23年11月22日に、環境大臣が放射性物質汚染対処特措法の規定に基づく放射線障害の防止に関する技術的基準の策定について放射線審議会に諮問※2を行い、平成23年12月13日に放射線審議会が当該技術的基準の策定について妥当であると答申※3をしております。放射線審議会では、第116回から第119回の4回にわたり、当該諮問について審議を行っております。
さらに、平成23年12月9日に環境大臣が原子力安全委員会に、放射性物質汚染対処特措法第二十条等の環境省令の制定について諮問※4をし、平成23年12月12日に原子力安全委員会が当該諮問に対して妥当であると答申※5されております。
排気、排水中の放射能濃度のモニタリングについては、原子炉等規制法では原子炉の操業において月1回とされており、放射性物質汚染対処特措法においても、特定廃棄物等の処理基準において月1回としたところです。
なお、8,000 Bq/kg以下の廃棄物については、災害廃棄物安全評価検討会で得られた知見やこれまでのモニタリングの結果から、既存の廃棄物処理技術で、放射性物質汚染対処特措法等で定められている環境中の濃度限度に比べて十分低いレベルで排気、排水を抑制できることが確認されています。
以上、法制度の側面からも、技術的な側面からも、「規制を緩めた」ものではないと考えており、「環境への放射性廃棄物の漏洩・拡散のリスク」についても環境保全上問題ないレベルと考えています。
※1 平成23年6月19日 災害廃棄物安全評価検討会(第3回) http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/03-gijiroku.pdf(環境省 廃棄物・リサイクル対策部)
※2 平成23年11月22日 放射線審議会(第116回) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/gijiroku/1313890.htm
※3 平成23年12月13日 放射線審議会(第119回) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/gijiroku/1314581.htm
※4 平成23年12月9日 第85回 原子力安全委員会臨時会議 http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan085/index.html
※5 平成23年12月12日 第86回 原子力安全委員会定例会議 http://www.nsc.go.jp/anzen/soki/soki2011/genan_so86.pdf
【編注】本文からのリンクは、原子力安全委員会から原子力規制委員会へのサイト移行に伴うリンク先の修正をしてあります。以下同様。
【参考】
◇ 内閣府原子力委員会 IAEA除染ミッションチームの表敬訪問(平成23年10月12日)
◇ 外務省 原子力発電所の安全確保・我が国の輸出品に対する諸外国の規制等に対する取組み
(12)IAEA国際除染ミッションが10月7日~15日に訪日し,11月15日,IAEAは,日本政府にIAEA国際除染ミッションの最終報告書(原文:英文)を提出し,公表した。(原文「Final Report」(PDF),仮訳(要旨部分のみ)(PDF))
(2)ICRPの1990年勧告では、低線量・低線量率の発がん確率について「線量反応関係には真のしきい値を想定しうる十分な証拠はない。」とされているが、国の放射性廃棄物に関する規制値の設定の考えは、このICRPの考えを維持しているのか。
また、そうであれば担保している根拠を示されたい。
一方、維持していないのであれば、その理由を明らかにされたい。
(2)回答
回答
放射線審議会※2(第116回)において、審議の開始にあたって、丹羽会長が「我が国の原子力の政策とか、そういうことも踏まえて我々の骨組みはこれで行きましょうということがある。それは、何度も出てくる国際放射線防護委員会の勧告を基本にした放射線防護の考え方ということだと思う。そのような骨組みは放射線審議会の基本であり、その上に立って、この除染関連の、諮問にあるような技術的基準に関してのご審議を始めていただきたいと思う。」と発言しています。
このように、我が国における放射線防護の考え方は、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告に基づいております。
【編注】第116回審議会の記録ページでは、ここで言及された丹羽会長の冒頭発言は記録されていない。会長が審議の開始に発言した内容は、その後の審議では日本のこれまでの原子力政策とICRPを基準とする考察を示唆したとも考えられ重要な発言である。この冒頭発言は公式記録のページに追記されるべきである。
(3)放射性物質を扱う専門組織及び専門職員が存在しない市町村に、放射性物質の管理をさせることの妥当性をどう考えているのか。
環境省は、市町村が行う放射性物質の管理に係る予算措置や職員の教育訓練を実施しないのか。また、管理の実効性を確保するためにどのようなことを行うつもりか。
(3)回答
回答
広域処理をお願いしている災害廃棄物は、放射能濃度が不検出または広域処理に係る告示に定める目安(240Bq/kg以下)を下回っており、通常の廃棄物として処理可能なものであって、特別な管理は必要ないと考えています。また、取り扱う廃棄物の放射能濃度が低いことから、電離放射線障害防止規則が適用されるものではありません。
なお、住民が心配される安心・安全の確保の観点から、放射線測定の実施等への財政的支援や、住民説明会の開催等にあたって国が職員や専門家を派遣する等技術的支援を行うこととしております。
(4)震災後制定された法令では、放射性廃棄物を含む焼却灰等を市町村最終処分場で埋立可能とする濃度を 8,000 Bq/kg 以下とし、濃度規制だけをもって規制しているところであるが、放射性物質の貯蔵については、その量を国に許可・届出することが義務づけられていることに対し、当該処分場に埋立できる放射性物質の総量を規制しない理由を示されたい。
(4)回答
回答
災害廃棄物に関する埋立処分の評価シナリオについては、廃棄物処理の実態を踏まえ、想定される被ばく経路が設定され、安全評価は、内部被ばく、外部被ばくを含め、厳しい(安全側の)シナリオを用いて行われています(最も被ばく量が多くなるのは脱水汚泥等埋立作業の作業者)。処分場については福島県内の一般廃棄物の最大の処分場の残余容量(約420,000 ㎥)に相当する 200m×200m×10m(400,000 ㎥)の規模を想定したものとなっています。
この処分場一杯に 8,000 Bq/kgの焼却灰を55万トン埋め立てた場合でも、埋立作業を行う作業員の追加被ばく線量は 1 mSv/年以下に、埋立終了後に周辺住民が受ける追加被ばく線量は 0.01 mSv/年以下になります。
このように、8,000 Bq/kgの基準は、元々大量の廃棄物を扱うことを前提とした安全評価の結果を踏まえて、安全確保上問題のないレベルに設定されているため、総量の規制は必要ないと考えています。
なお、六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターは、セシウム137では約11億 Bq/kg(1.11×1012 Bq/トン)を上限濃度とする高濃度の放射性廃棄物の受入を想定しており、広域処理で扱う廃棄物とは濃度レベルが大きく異なります。
【編注】今回の震災廃棄物に限らず、一般の放射性物質の貯蔵にも同じ論理が適用できると思える。六ヶ所の話はこの問題とは関係無い余計なことである。
(5)福島県内の災害廃棄物の処分の方針を決定するために重要な安全評価を行う「災害廃棄物安全評価検討会」を非公開とすることについて、環境大臣が「不安をあおらないやり方」と発言した旨公表されているが、どのような部分が不安をあおると考えたのか。
(5)回答
回答
当初、本検討会においては、国民の健康と生活に支障を来すことのないよう、放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄処理を安全かつ円滑に実施するため、その時点では非公開であったデータ等も取り扱いながら、議論を行ってきました。
本検討会の議論の発言内容やこれらデータが公にされることで、市町村等による災害廃棄物の処理事業の適正な遂行に支障を及ぼしたり、風評被害につながるおそれがあることや、検討会において委員による率直な意見の交換と意思決定の中立性が不当に損なわれる ことのない意見交換を確保すため、本検討会は非公開としてきました。
なお、会議の内容については、会議終了後に環境省職員による記者見を行い、対外的な説明及び質疑応答を行うとともに、会議資料及び議事要旨を公表し、検討過程を公開してきました。
また、 第12回災害廃棄物安全評価検討会において、委員から公開で実施することについて提案があり、公開の方針が確認されたことから 、第13回災害廃棄物安全評価検討会から公開で実施しています。
【編注】「非公開」についてのこのような釈明は身に覚えがある地方公務員に対しては説得力があると思える。新潟県が試験焼却に踏み切るひとつのきっかけになったかも知れない。
2 放射能対策についての技術的問題について
(1)最終処分場の排出水から放射性物質が出ることを前提としてゼオライトで対応することを指示することは、国が示した処理基準では完全に放射性物質を封じ込めることができないことを示唆しているのか。
(1)回答
回答
ゼオライトによる対処法は、『万が一』安全性を確認する目安となる濃度限度を超えた場合の対処法の例を示したものであり、最終処分場の排水から目安となる濃度限度を超える放射性セシウムが検出されることを前提としているものではありません。
なお、実際に、各地の最終処分場の排水等の放射能濃度の測定結果においても、大半の施設が不検出、一部検出された場合でも目安となる濃度限度を下回っており、安全に処分できていることが確認されています。
(2)ゼオライトの設置が事故の発生を想定したものであれば、法令や基準にその設置や措置方法を規定しない理由を示されたい。
(2)回答
回答
ゼオライトによる対処法は、事故の発生を想定したものではなく、『万が一』安全性を確認する目安となる濃度限度を超えた場合の対処法の例を示したものであり、法令等に規定する必要はないと考えています。
(3)ベントナイトによる雨水の浸透の防止能力の科学的検証を示されたい。
(3)回答
回答
一般廃棄物の最終処分場の技術上の基準では、遮水工について「厚さが五十センチメートル以上であり、かつ、透水係数が毎秒十ナノメートル(1×10-8m/s)以下である粘土その他の材料の層の表面に遮水シートが敷設されていること。」と規定しています。
実際に最終処分場で使用されるベントナイト(粘土)の透水係数については、メーカー等のホームページでは1×10-9m/s以下(※1)や、1×10-11m/s以下(※2)が示されており、また、核燃料サイクル開発機構(現 日本原子力研究開発機構)による高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る研究(「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性 -地層処分研究開発第2次とりまとめ-」※3)[PDF 32,770 KB])によれば、4.5×10-13m/sとされています。
※1 株式会社ボルクレイ・ジャパン http://www.nibent.co.jp/jp/product/lineup/05.html
※2 清水建設 http://www.shimz.co.jp/tw/tech_sheet/rn0226/rn0226.html
※3 日本原子力研究開発機構 JAEA http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/pdfdata/JNC-TN1400-99-020.pdf(平成11年11月26日)
(4)土壌層による放射性セシウムの吸着能力(量・期間)の科学的検証を示されたい。
(4)回答
(5)大雨により処分場が冠水した場合の安全性の検証について示されたい。
(5)回答
回答
埋立処分の完了後には、透水性の小さい土砂等で覆土の上、排水勾配を設ける等の対策を行うため、雨水と焼却灰が接触する可能性は小さくなります。一方、埋立途上においても、放射性物質を含む焼却灰等が埋め立てられた領域を湛水させないようにすることは従来の方式で可能であると考えます。降水量が最終処分場の集排水能力を越えた場合に、冠水する可能性も無いわけではありません。その様な場合でも、焼却灰を埋め立てる前に土壌層を設置することによりセシウムは土壌に吸着され、容易に外部に漏れ出ることはありませんが、万が一、湛水し、目安となる濃度限度を超える放射性セシウムが検出された場合には、排水処理槽へのゼオライト粉末の投入、ゼオライト吸着塔の設置などにより、排水中の放射性セシウム濃度を抑えることができます。
(6)浸出水が漏洩した場合、周辺環境への影響の把握など恒久的な対応方法をどうすべきか国の考え方を示されたい。
(6)回答
回答
広域処理をお願いしている災害廃棄物は、放射能濃度が不検出または低いため、浸出水が漏えいした場合でも、その放射能濃度は周辺環境や周辺住民の健康に影響を及ぼすレベルのものでは無いと考えています。しかし、万が一、目安となる濃度限度を超えた場合は、前(5)のとおり、ゼオライト等により対処できるものと考えております。
なお、2011年7月以降、焼却灰の埋立処分を行っている福島県内の一般廃棄物最終処分場6ヶ所の浸出水処理施設においての放射性セシウムの調査※では、浸出水原水および処理水中の放射性セシウム濃度は大半の試料が不検出であり、一部検出された試料で最大で17Bq/L 程度(セシウム-134、セシウム137 の合計)であり、目安となる濃度限度を大きく下回る範囲であったと報告されています。
※ 放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料 第二版)(独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター http://www.nies.go.jp/shinsai/techrepo_r2_120326.pdf (前出です)
(7)環境省の資料では、「排ガスは冷やされて、気体状あるいは液状のセシウムは、主に塩化セシウムとして固体状になり、ばいじんに凝集したり吸着する。」とあり、全てのセシウムが塩化物となることを想定していると考えられる。
市町村の廃棄物処理施設で焼却した場合、セシウムは何%が塩化セシウムになるのか、また、ガス化するセシウムはないのか、科学的検証を示されたい。
(7)回答
回答
セシウムは原子番号55のアルカリ金属であり、沸点は約650℃、融点は約30℃です。排ガス中の放射性セシウムは、バグフィルター手前で約200℃以下にまで冷却されると、主に塩化セシウム(沸点は約1300℃、融点は約650℃)の形態でばいじんに吸着していると考えられます。
実際、京都大学の高岡教授の安定セシウム(放射性セシウムと物理化学的な挙動は同様考えて良いです。)に関する調査結果では、バグフィルター前で固体状が99.9%、ガス態が0.1%であったことが報告されています。
また、わずかに気化したセシウムが存在したとしても、排ガスの測定において、ドレン部で捕集されることになりますが、実際の排ガス測定においても、通常ドレン部では不検出であり、ガス態のセシウムは安全確保上必要な検出レベルでは存在していないことが確認されています。
(8)震災がれきを焼却している施設では、国の指導に従って通常の測定方法(JISZ8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」)により検体を採取、測定し、排ガス中の放射性セシウム濃度としているが、ガス化している放射性セシウムがある場合は正確な測定でない可能性があるが、これに対する科学的検証を示されたい。
(8)回答
回答
測定方法は、JIS Z 8808 「排ガスのダスト濃度測定方法」に準拠した試料採取を行い、ダストはろ紙部、ガス態はドレン部で捕集し測定する構造となっています。(下図参照)。ろ紙部を通り抜けたガス態についてもドレン部で捕集されるため、測定漏れはないと考えられます。※
さらに、福島県内の焼却施設において、ドレン部の後に活性炭吸着を行った、より精密な測定結果もありますが、ドレン部とともに活性炭部でも検出されていません。
※ 第11回災害廃棄物安全評価検討会」資料9 http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/11-mat_5.pdf
【編注】このPDFファイル 2,607 KB の 42/52 に資料9「焼却施設及び最終処分場における測定結果について」があります。
(9)静岡県島田市の災害がれきの試験焼却の結果において、公表されているデータによれば、焼却から発生する排ガス、ばいじん等の一連の行程での放射性セシウムの物質収支量を見ると、4割の放射性セシウムが所在不明となっているが、その原因と理由を示されたい。
(9)回答
回答
本指摘は、試験焼却時の焼却対象物(混合廃棄物)、集塵機入口の排ガス及び焼却灰等に含まれる放射性セシウムの量を分析し、物質収支を取ることを試み、その収支が不均衡であることを問題視しているものと考えます。
しかし、島田市での試験焼却の目的は、排ガスの濃度が濃度限度(セシウム134で20Bq/㎥, セシウム137で30Bq/㎥)に照らして十分低いことを確認すること、また、飛灰の濃度が8,000Bq/kgを下回り、安全に処分ができることを確認することにあり、この試験焼却により物質収支を評価することはできません。
そもそも廃棄物処理施設において精密に収支を評価することは難しいことですが、大まかな収支を評価するとしても、例えば以下のような点についてより精緻なデータが必要となります。
- 焼却対象の廃棄物の放射能濃度(島田市の一般廃棄物の放射能濃度は極めて低く、そのものを測定しても検出限界以下となるレベルであり、そのレベル以下で正確に把握することは困難である)
- 排ガス量の経時変化及び実処理時間(実際には焼却時間内で排ガス量は変動している。)
- 排ガス中の放射能濃度(検出下限値を安全性の確認に必要な値より引き下げて測定する必要がある。)
なお、上記の考え方については、6月5日に開催した「災害廃棄物安全評価検討会」において「災害廃棄物の広域処理について(第1.2版)」の中で、検討いただき、妥当との評価をいただいています。
「4割放射性セシウムが所在不明」とのご指摘は、上記のデータが精緻に取れていないため、事実誤認と考えます。※
※ 島田市の試験焼却については、「島田市の試験焼却データに関する見解について」を参照下さい。(http://kouikishori.env.go.jp/faq/pdf/faq_02b.pdf) 84 KB
【編注】よくあるご質問 | 広域処理情報サイト 【環境省】
Q16 「静岡県島田市が2月に行った岩手県山田町の災害廃棄物(木くず)の試験焼却の結果について、「10万ベクレルが行方不明」「バグフィルターによる放射性セシウム除去率50~60%」といった指摘がありますが、本当でしょうか?」
A16 「本当ではありません」に「島田市の試験焼却データに関する見解について」がリンクされています。
【編注】環境省の見解は「混ぜて希釈すれば安全」という理屈によるもので、言うなれば福島原発事故で放出された放射性物質を日本全国にばら撒いて希釈すれば安全という考え方に過ぎない。それが広域処理の目的だと言っている事になる。
3 放射能対策についての管理面の問題について
(1)震災以前は厳格に国が規制していた放射性廃棄物の処分について、これまで放射性廃棄物の処分の経験がなく、また、放射能に関する専門職員及び組織を持たない市町村に委ねることは、放射性物質の漏洩によるリスクを高め、本来国が負うべき責任を市町村に転嫁しているように見えるが、トラブルが生じた場合、国はどのような具体的な責任をとるのか。(現に国の基準を満たした焼却灰を埋め立てたにも拘わらず、その排水から放射性セシウムが基準を超えた事例が見られている。)
(1)回答
回答
広域処理をお願いしている災害廃棄物は、前述のとおり、通常の廃棄物として処理していただけるものに限っています。
ご指摘の事例は、群馬県伊勢崎市の事例のことかと推察いたしますが、伊勢崎市の最終処分場では当初、土壌層の上に埋立てを行うといった対応がとられていなかったところに、台風による降雨により、埋立区画内が湛水し、溶出したセシウムが直ちに集排水管に達したことが、浸出水から放射性セシウムが検出された原因です。
この件の後、処分に当たってはしっかり土壌層を敷き詰めた上で行うよう、国からも改めて指導しています。こうした措置を行うことで、伊勢崎市のような事例は防ぐことができます。実際に、各地の最終処分場の排水等の放射能濃度の測定結果においても、大半の施設が不検出、一部検出された場合でも目安となる濃度限度を下回っており、安全に処分できていることが確認されています。
また、万が一目安となる濃度限度を超える場合にも、ゼオライトにより吸着することが可能です。本ケースでは、排水処理槽へのゼオライト粉末の投入及びゼオライト吸着塔の設置により、排水中の放射性セシウム濃度を検出下限未満にまで抑えることができています。これらの知見は、伊勢崎市の事例の対応にあたった国立環境研究所に蓄積されており、万が一同様の事例が発生した場合には、技術的な助言を行うことが可能です。
(2)放射性廃棄物の処分のために設置されている青森県六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、管理期間を概ね300年と見込んでいる。
放射性セシウムの半減期は30年であるが、市町村の一般廃棄物最終処分場で封じ込む期間や封じ込めのレベルをどの程度と見込んでいるのか。
また、市町村最終処分場の埋立期間は概ね15年とされているが、その期間を超えた後、どのようにして管理するつもりか(「廃棄物最終処分場の性能に関する指針(平成12年12月28日付け)(環境省)」第四1(1)性能に関する事項に「埋立処分を行う期間内(十五年間程度を目安とし、……)とされている。)
(2)回答
回答
広域処理の対象としている災害廃棄物は、通常の廃棄物として、廃棄物処理法の規制を遵守することにより、安全に処理ができるものです。したがって、跡地利用についても、特別な制限がかかるものではなく、通常の跡地利用の方法(最終処分場跡地形質変更に係る施行ガイドライン)によることができ、特別な管理期間が必要なものではないと考えています。
1(1)への回答でご説明した8,000Bq/kgの基準を定めるに当たって行った廃棄物処理プロセスにおけるシナリオ評価では、埋立について、最終処分場の遮水性能を考慮せず、廃棄物中の放射性セシウムが一定割合で地下水に移行し、井戸水や作物として住民が経口摂取し続けるという安全側での仮定をおいて評価を行っています。その結果、埋立対象廃棄物が8,000Bq/kg以下であれば、処分施設の管理期間終了以後、周辺住民の受ける追加被ばく線量が0.01mSv/年を大きく下回るとの評価となっています。
なお、六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターは、例えばセシウム137で、約11億Bq/kg(1.11×1012Bq/トン)を上限濃度とする高濃度の放射性廃棄物の受入を想定し、300年後に一般人への線量として0.01mSv/年以下を目標としているものと理解しています。
(3)群馬県伊勢崎市の最終処分場や千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から、国が示した排水基準の目安を超える放射性セシウムが検出されるなど、実際に放射能の漏洩等、現に管理できていない事例が見られる。
放射性物質の取り扱いの経験のない多数の事業主体が、なぜ厳格に管理できると考えているのか、本来、国で一元的に管理すべきではないか、根拠を示されたい。
(3)回答
回答
ご承知のとおり、8,000 Bq/kg を超える廃棄物については、特措法により、国の責任で処理することになりましたが、8,000 Bq/kg 以下の廃棄物については前述の通り廃棄物処理法に基づき、通常どおりの処理が可能とされています。群馬県伊勢崎市の事例については前述のとおりです。
また 、千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から、国が示した目安となる濃度限度を超える放射性セシウムが検出された件につきましては、放射性セシウムを吸着するゼオライト使った排水処理行うこととしております。
4 「がれき処理の全体計画の明示」について
(1)5月10日付けの回答では、「岩手、宮城両県の災害廃棄物の発生量、処理量等について見直しを行っているところであり、広域処理の必要量についても改めて精査が行われる予定」とのことであるが、これらが未確定な中では広域処理の必要性について明確にならないと考えられるので、これらを明らかにした上で、改めて4月6日提出の質問に回答いただきたい。また、その際、岩手県及び宮城県における可燃物の発生量についても示されたい。
(1)回答
回答
岩手県、宮城県では、災害廃棄物の一次仮置場への搬入がほぼ完成し、解体が必要な被災家屋等の見込みが明らかになるとともに、海への流出災害廃棄物の引き揚げ見込み量が明らかになり、広域処理必要量の精査が必要となったことから、災害廃棄物量の推計を見直しました。
その結果、5月21日付けで発表された、見直し後の災害廃棄物の推計量は、岩手県で525万トン、宮城県で1,150万トンとなっております。その内、可燃物として焼却又は再生利用する処理量としては、岩手県で約88万トン、宮城県委託分で約294万トンとなっております。また、県内処理については、岩手県では、既存の市町村の一般廃棄物処理施設、セメント会社、産業廃棄物処理施設、仮設焼却炉2基の最大限活用を、宮城県では仮設焼却炉(29基)による処理、焼却主灰のコンクリート固形化による土木資材としての活用、公設最終処分場の活用などに努めることとしております。それでもなお、岩手県で120万トン、宮城県で127万トンの広域処理が必要とされており、5月21日付けで、岩手県知事及び宮城県知事より環境大臣に宛てて、改めて広域処理への協力要請があったところです。
(2)今回回答いただいた参考資料及び環境省ホームページ等を基に推計(別表参照)すると、平成26年3月末における地元未焼却量の推計は 98.4 万トンとなり、これは、広域処理を行わなくとも、平成26年3月末から岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で焼却処理が終わる量である。一方、4月17日付け環境省資料によれば、既に 162 万トンの広域処理が現実的なものとなりつつあるとのことなので、これ以上の広域処理は不要ではないか。
(2)回答
回答
可燃性廃棄物について広域処理に頼らずにすべてを被災県内で処理する場合、焼却処理施設の確保の他に焼却後の焼却灰の最終処分場を新たに確保する必要があり、そのためには数年単位の時間がかかるものと見込まれます。このため、復興の大前提として災害廃棄物処理を一刻も早く進める観点から、焼却処理・埋立処分を一体として受け入れいただけるよう広域処理をお願いしているところです。
また、162万トンの広域処理量は、その多くが、最優先で広域処理の実現を図ることとしている自治体に対して要請した量であり、今後、今回の見直し結果に基づき、廃棄物の種類毎にきめ細かい調整を行っていく必要があるものと考えております。
(3)仮設焼却炉を岩手県で2基、宮城県で29基、合計31基が稼働中又は設置予定であるとのことだが、これらによって全ての災害廃棄物を本当に域内処理できないのか、改めて明確な根拠を示されたい。
(3)回答
回答
岩手県については、県内の既存廃棄物処理施設(沿岸市町村に加え内陸市町村の一般廃棄物焼却施設、民間のセメント会社、産業廃棄物焼却施設 リサイクル施設)を最大限活用 )を最大限活用するともに、仮設焼却炉を 2基、 破砕・選別施設を地域ごとに設置し、災害廃棄物の 処理を進めています。特に県内処理の促進については、太平洋セメントを拠点としつつ、内陸市町村の協力を得て焼却 処理を進めるなど、昨年度から継続して取り組んで継続しています。
今回の見直しの結果 、上記の県内処理に加え、今後必要な広域処理量は約119万トンとなり、既に処理済みの約 1万トンをあわせると、 全体の広域処理必要量は 約 120 万トンとなります。
宮城県においては、4つのブロックを設け、ブロック内で処理を基本として、ブロックごとに破砕・選別、焼却処理の機能を持った仮設の中間処理施設(仮設焼却炉は計26 基、この他仙台市に3基)を設置し、災害廃棄物の処理を進めています。 更に、最大限県内処理を図るため,ブロック間の連携やブロック外での県内処理の拡大を進めています。今回の見直しの結果、上記の県内処理に加え、広域処理必要量は114万トンとなり、既に処理先が確定している女川町等の広域処理量13万トンを加え、計127 万トン分の広域処理が必要となります 。
この結果から、広域処理の対象となる木くずや可燃性廃棄物について、仮設焼却炉等の処理施設を最大限活用しても、宮城県で10か月程度、岩手県については1年程度が必要と考えられているところです。
しかしながら、処理期間の延長は、仮置場用地の復興事業等への早期利用に支障を来すばかりでなく火災や生活環境保全上の問題の他、仮置場の存在が被災者の精神的な重荷にもなっている現状を長期化させるものです。また、広域処理対象分まで県内で焼却を行った場合、焼却灰の最終処分場を新たに確保する必要があり、そのためには数年単位の時間がかかるものと見込まれます。そうした事態は、迅速に廃棄物処理を進め復旧・復興を早期に行う観点から適切ではないと考えており、県内処理と広域処理を並行して進めていく必要があります。
(4)今回回答いただいた参考資料では、宮城県で災害廃棄物を処理する焼却炉に既存の焼却炉がないが、なぜ既存の焼却炉も活用しないのか。地元で埋立の反対運動があったことが原因なのか。
(4)回答
回答
宮城県内特に沿岸市町では、廃棄物処理施設の多くが震災により被災し、その後施設は復旧したものの、復旧までの間に滞留した一般廃棄物の処理を進めなければならず、災害廃棄物の処理に取りかかることは極めて困難な状況にありました。内陸市町村の処理施設においても、元々余力が限られている上、地震被害により発生した自市町村の災害廃棄物の処理を行わなければならない状況にあり、沿岸部の災害廃棄物処理に協力できる状況にはありませんでした。
このような中、災害廃棄物の処理が可能な施設、例えば、仙台市、気仙沼市、宮城東部衛生処理組合の施設については、比較的速やかに施設復旧が行えたことから、既に一般廃棄物の処理と並行して災害廃棄物の処理を行っています。
さらに、宮城県では県内での処理を進めるため、宮城県災害廃棄物処理業務連携推進協議会を開催して沿岸市町村での処理促進を、宮城県災害廃棄物処理対策協議会市町村長会を開催して内陸部も含めた県内全域での処理促進を、それぞれ進めており、県内で余力のできた既存焼却施設の活用、仙台市仮設焼却炉の処理前倒しでの受入れ、県内最終処分場の活用などについて調整を進めています。このように県内での処理を最大限進めていますが、5月21日の見直しに示すとおり、それでも広域処理が未だ必要な状況にあるため、広域処理をお願いしています。
(5)仙台市では地域内の処理が進み、他地域の災害廃棄物についても 10 万トンの処理を引き受ける一方、来年12月までには焼却処理を終了するとのことである。
国は、被災地の災害廃棄物処理を全体的に見通しつつ、被災地域間の災害廃棄物処理の進捗の違いを調整して、できるだけ域内処理できるよう調整すべきと考えるが、現在どのような調整を行っているか。また、そうした調整を行っていない場合は、その理由を示されたい。
(5)回答
回答
宮城県においては、4つのブロックを設け、ブロック内で処理を基本としてブロックごとに破砕・選別施設や仮焼却炉等の中間処理(仮設焼却炉計26 基、この他仙台市に3基)を設置し,災害廃棄物の処理を進めている。 加えて、最大限県内処理を図るため,ブロック間の融通や外県内処理拡大を進めています。具体的には以下とおりです。
【焼却灰の処分】
① 焼却主灰の再生利用約23万トン: 仮設焼却炉の主灰をコンクリート固化し、環境面での安全性を確認したうえ、港湾埋め立てなど土木資材と利用図り、埋立立処分量を低減
② 公設最終処分場の活用 約34万トン: 石巻ブロック内公設最終処分場(約4万トン)、小鶴沢処理場(20万トン)、県内最終処分場(10万トン)の活用
【県内における焼却処理の推進】
③ 仙台市による協力 約10万トン: 石巻ブロックの木くず等を中心とした可燃物の受入
④ 二次処理プラント間の連携 約 28 万トン: 二次処理の仮設焼却炉を、ブロック間で 連携し、 石巻ブロック分の一部を他にて処理
(6)阪神淡路大震災においては、仮設焼却炉は発災後約3か月後には設置され始めていたが、今回仮設焼却炉の大半の設置が約1年後以降と著しく遅れているのはなぜか。
(6)回答
回答
宮城県では、仮設焼却炉の用地として公有地を中心に選定を進めましたが、広範な地域が津波災害にあったために、多くの公有地が仮設住宅等に使用されており、公有地での仮設焼却炉の用地選定に時間を要しました。具体的には、宮城東部ブロックでは、ブロック内に適地がなく、仙台市内に仮置場を求めたことから手続きに時間を要したことや、気仙沼ブロックでは公有地に適地が無く民有地(農地)を確保することとしたため、340人を超える地権者との交渉に時間を要したこと及び予定地の一部が高速道路の計画ルートと重なることによる予定面積の縮小と新たな土地の確保が必要になったことから大幅に発注が遅れることとなりました。石巻ブロックでは、地盤が脆弱でその造成に時間を要したことで工程に遅れが生じました。
加えて、仮設焼却炉の設置を県が行う際の事務手続きとして、事業者決定後に生活環境影響調査を行い、その後に工事を開始したことも設置に時間を要した一因となりました。
なお、阪神淡路大震災では、小規模のバッチ式簡易焼却炉を先行して整備しており、3ヶ月後に稼働しましたが、今回と同様の大型の連続炉は発災後、9~10月後に稼働したものと聞いております。
(7)阪神淡路大震災では、兵庫県内において、可燃物の 23 %程度が埋立処理がされたが、なぜ、放射性物質の濃縮の危険がある東日本大震災の可燃物の埋立処理を行わないのか。
(7)回答
回答
可燃物の焼却処理は、廃棄物の減容化や生分解性廃棄物の適正な処理を目的としております。
広域処理をお願いする災害廃棄物は放射性セシウム濃度が不検出又は低く、岩手県と宮城県の沿岸部の安全性が確認されたものに限ります。
可燃物の場合は、対象とする災害廃棄物の放射性セシウム濃度の目安を焼却炉の型式に応じて240ベクレル/kg以下又は480ベクレル/kg以下のものとしています。この範囲であれば、焼却後の放射能濃度は、飛灰でも8,000Bq/kg以下となり、通常の埋立処理が可能であると考えています。
なお、阪神淡路大震災においても、今回と同様、可燃物は分別を徹底した上で、破砕・焼却による減容化・リサイクルを図っており、積極的に埋立を行ったものではなく、埋立されたものは不燃物と混合状態で分別不可能なものに限られています。
(8)このように、広域処理の必要性が明確でない中では、むしろ広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。
(例)岩手県のホームページによれば宮古地区広域行政組合の処理単価が1トン当たり 16,300 円なのに対し、財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は1トン当たり 59,000 円となっている。広域処理引受量 162 万トンで差額を算出すると、約 700 億円となる。)
(8)回答
回答
広域処理の必要性については、(1)から(5)に述べたとおり明確であると考えています。
なお、例にあります宮古地区広域行政組合の処理単価(16,300円/トン)については、既存の施設の余力を利用し、災害廃棄物を受け入れているものであり、このような処理は最大限実施することとしています。一方、仮設焼却炉等を新たに整備して行う域内処理は、既存の施設を活用して行う広域処理と比較して必ずしも処理単価が安いとは限りません。
(9)なお、環境省は、5月21日に、岩手県、宮城県の広域処理必要量の見直し結果を発表しているが、従来の必要量はどのように見積もったのか、また、今回見直しの理由と内容について、改めて明確に回答願いたい。
(9)回答
回答
1 これまでの災害廃棄物発生量推計方法
災害廃棄物の発生量については、まず東日本大震直後に、衛星画像を用いて浸水区域を特定し、これもとに、環境省において津波により倒壊した家屋等の災害廃棄物量を推計 しました。(平成23年4月時点では、沿岸市町村における発生量を、岩手県約 600 万トン、宮城県約 1,600 万トンと推計)。
その後、災害廃棄物の発生量が比較的少なく、仮置場へ搬入が概ね終了した市町村については、搬入済量をもとに適宜推計値を見直し、より実態に近い推計量に置き換えています。(平成24年5月7日時点では、岩手県約 480 万トン、宮城県約 1,570 万トン)。
2 岩手県・宮城による災害廃棄物推計量の見直し内容
目標期間内(平成26年3月末まで)の処理をより確実なもとしていくためには、災害廃棄物量の正確な把握が重要であり、環境省からも広域処理を推進する観点から、処理計画や処理量の見直しを早急に進めることを、岩手県・ 宮城県にお願いしました。(4月23日付け「内閣総理大臣による協力要請結果を踏まえた今後の廃棄物広域処理推進について」)。
このことも踏まえ、今般岩手県・宮城県においては、以下理由から、災害廃棄物推計量の見直しが行われました。
- 市町村による災害廃棄物の一次仮置場へ集積がほぼ完了し、なお解体が必要な被災家屋等の見込みが明らかになりつつあること
- 相当程度の災害廃棄物が海に流出したと見込まれること、及びその引揚げ量の見込みが立ったこと
- 今後の広域処理の具体化にあたり、より詳細な種類別処理量の精査が必要であること
具体的な見直しの内容としては
- 測量による一次、二次仮置場に搬入された災害廃棄物の容積の把握
- 市町における今後解体予定の家屋、公共建築物等の棟数の把握
- 実績を踏まえた海からのがれきの引揚げ量の推計
を実施し、推計される体積から災害廃棄物の種類別の比重を用いて重量に換算しています。
したがって、今後処理が必要な災害廃棄物として、より実態に近い推計となっているものと考えています。
詳細は、平成24年5月21日付けの「災害廃棄物推計量の見直し及びこれを踏まえた広域処理の推進について」をご覧下さい。
【編注・「最新情報」広域処理情報サイト:環境省 でPDFファイルにリンクされています】