以下は質問答弁経過情報で掲載された 近藤昭一議員 による質問書と内閣答弁書をQ&A形式に編集したものです。
縦書き文書で用いられる数字はアラビア数字に変換し、元号表記に西暦を付加、長いセンテンスを適宜改行するなど、Webページとしての編集のみ行なっています。
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2012年4月のモロッコでのMV-22墜落事故、同年6月のフロリダでのCV-22墜落事故を受けて、オスプレイの安全性への「懸念や不安が広がった」ことを、防衛省と外務省は認めている(「MV-22オスプレイの沖縄配備について」(2012年9月19日))。【編注・防衛省の「オスプレイについて」 ページに 「MV-22オスプレイの沖縄配備について」 項目あり PDFファイル多数】
そこで、モロッコ及びフロリダにおけるMV-22及びCV-22墜落事故に関する米側報告書を入手し、「我が国独自の手法により」検証するなどオスプレイの安全性に関する検討を行ったとしている。
これらの検討によって、オスプレイの機体自体の安全性は政府として確認できたとしているが、その後も、2014年10月のペルシア湾での着水死亡事故、2015年5月のハワイ、オアフ島での墜落死亡事故、2015年12月のサンディエゴ沖での着艦失敗事故など、オスプレイは重大事故を繰り返しており、防衛省及び外務省の検討の妥当性には深刻な問題があること、そして、オスプレイの機体の安全性自体に問題があることを示唆している。
日本政府は、当然、これら近年の重大事故についても米側の事故報告書及び関連資料を入手するなど情報収集を行い、機体の安全性について再検討を行うべきであるし、行っているものと考える。そこで、次の事項についてお尋ねする。
1 MV-22及びCV-22オスプレイについて、クラスAの重大事故のリストを明らかにし、その中で、日本政府として事故報告書を全文保有しているものを示していただきたい。防衛省のホームページには、2012年のモロッコとフロリダ事故報告書だけが掲載されているが、これがすべてということか。仮にそうであれば、クラスAのすべての事故報告書を入手し、政府として分析すべきと考えるがいかがか。
2 2014年10月ペルシア湾での事故、2015年5月のハワイ、オアフ島での事故、2015年12月のサンディエゴ沖での事故それぞれについて、事故報告書及び関連資料を防衛省のホームページに掲載すべきと考えるがいかがか。
5 2012年に発生したモロッコとフロリダの事故報告書を見る限り、事故発生時におけるマニュアル操作とコンピューター制御による自動操縦の関連性について、パイロットがいかなる心理状態にあったかという記述が皆無である。この点の分析が重要であると考えるが、この点に関する日本政府の考えをお示しいただきたい。
3 MV-22及びCV-22の最新の事故率及び、これまでの事故率の数値の変化についてお示しいただきたい。
4 2014年10月ペルシア湾での事故では出力が20%低下したこと、及び2015年5月ハワイ、オアフ島での事故ではエンジンが片方停止したことで墜落している。防衛省の説明では片方のエンジンが停止しても航行は継続できるのでオートローテーション機能がなくても安全だというものであるが、あらためてオートローテーション機能がオスプレイに備えられているのか、あるいは備えられていなくても安全に航行できるのか、政府の見解を明らかにしていただきたい。
6 米特殊作戦コマンド(SOCOM)の2017会計年度の予算要求案(2016年2月)の中には、「CV-22の横田飛行場配備に関する環境レビュー」(以下「横田環境レビュー」)でフェーズⅡ(横田環境レビュー21頁の表2-2)とした事業の一部であるCV-22用のエプロン、格納庫、倉庫、シミュレータ施設の建設予算が含まれている。この事実からは、米側にとって、接受国通報を行ったCV-22横田配備計画は、既定の方針であり、決まったことを遂行しているだけという認識があるのではないかと考えられるが、この点を日本政府としては承知しているのか。また、このようなあり方をいかに考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。
7 接受国通報とは、政治的にいかなる意味と効力を有しているのか。その定義を示していただきたい。
8 接受国通報がなされた段階とは、いかなることが決まり、何が決まっていないのか。過去に、接受国通報に対し、日本政府として、通報された計画を拒否したり、意見を述べ計画の変更を求めるなどの対応をしたことはあるのかを明らかにされたい。
9 横田環境レビューには、六つの訓練区域における訓練内容が含まれていないばかりか、CV-22の低空飛行訓練や夜間訓練に関する記述は一切ない。しかし、2015年5月の中谷元防衛大臣の記者会見において、低空飛行訓練、夜間飛行訓練を行うと防衛大臣は述べていた。政府として、六つの訓練区域における訓練内容を明らかにしていただきたい。また訓練による住民の安全や健康への影響、環境への影響について、いかに評価されるのかを明らかにしていただきたい。
10 低空飛行訓練の実施を防衛大臣が言及されたことで、CV-22が、「MV-22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー」で示された六つの低空飛行訓練ルートを含め、現在、戦闘機などが低空飛行訓練を行っている7本の低空飛行訓練ルート、及びHエリア、エリア567での低空飛行訓練が実施される公算が強く、これは極めて重大な問題である。これらのルート下の全自治体及び住民に説明をするべきであるが、いかがか。
11 横田基地配備のCV-22について、横田基地及び横田基地周辺においてどのような訓練(夜間飛行訓練、低空飛行訓練、タッチアンドゴー訓練、ローパスを伴う訓練、旋回飛行訓練、パラシュートによる人員降下訓練や物資投下訓練など)が行われるのか具体的に明らかにされたい。また、訓練の実施にあたっては事前に基地周辺自治体に情報がもたらされるのかどうか示していただきたい。
12 横田基地配備のCV-22について、横田環境レビューにあげられていた各訓練場周辺およびそこに至るまでのルートにおいて、具体的にどのような訓練が行われるのか明らかにされたい。また、訓練の実施にあたっては事前に関係する自治体に情報がもたらされるのかどうか示していただきたい。
13 防衛省は、「CV-22オスプレイについて」(2015年5月)で、CV-22の騒音は現在の横田基地配備機種の大半を占めるC-130輸送機やUH-1ヘリコプターとほぼ同レベルだと述べて、横田基地配備後もうるささは変わらないと主張しているが、うるささ指数は音の大きさだけでなく頻度も関係する。配備機数が増えれば騒音被害は増大すると思われる。横田基地にCV-22が10機配備された場合の騒音はどうなるか、予測値を示していただきたい。
14 低周波音について、横田環境レビューには「沖縄防衛局を通じて、日本国政府は、(中略)MV-22(中略)による低周波音(中略)も具体的に測定している」(同書、44頁)とある。沖縄防衛局が行っているというMV-22の低周波音の測定について防衛省に尋ねたところ、「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書」 にその資料が掲載されていると答えたが、同影響評価書にあるMV-22のデータは、米国ノースカロライナ州アトランティックにおけるものとそれを基にした予測値である。沖縄防衛局で測定したMV-22の低周波音のデータをあらためて示すこと。
また、横田環境レビューの44頁に掲載されている「沖縄防衛局作成の低周波音影響の閾値」と称する図の出典は、「DON」(米海軍省)作成の「Final Environmental Review for Basing MV-22 Aircraft at MCAS Futenma and Operating in Japan」(2012年)であり、沖縄防衛局作成の資料ではない。どうしてそのような間違った記述がなされているのか、理由を明らかにされたい。
15 米軍による訓練が住民に被害を与えているのがこれまでの各基地周辺の実態であるが、オスプレイの訓練においてこのような被害が訴えられた場合、防衛省は調査し、米軍に対して何らかの是正を求めることができるのかを明らかにされたい。
16 CV-22の横田基地配備について、政府として基地周辺自治体に対し説明を行ったが、今後も説明を行うのか。説明に使用する資料を示した上で、対象とする自治体とスケジュールを明らかにされたい。
17 陸上自衛隊木更津駐屯地でオスプレイの定期機体整備を行う計画があるが、その機体はどのようにして木更津駐屯地に搬入されるのか明らかにされたい。
18 木更津駐屯地で定期機体整備を行うオスプレイの飛来に伴い、木更津駐屯地所属の自衛隊機の運用を含めての安全確保が求められるところだが、東京湾上空は横田空域、東京進入管制区、成田進入管制区など複雑な航空管制となっている。木更津駐屯地を起点とする自衛隊機の航行について、民間機の航行と空域の区別がどのようになされているのか示していただきたい。また、木更津駐屯地に搬入されるオスプレイについて、民間機との空域の区別がどのようになされているのか明らかにされたい。
19 木更津駐屯地を起点とする自衛隊機の航行が、羽田空港および成田空港の管制下に入る場合はあるか。ある場合、それはどれほどの頻度か明らかにされたい。
20 木更津基地でオスプレイのテスト飛行をする際も、2012年の日米合同委員会での合意は遵守されるものと考えてよいか。その場合、基地外でモード転換をすることが常態化すると考えられるが、このことは日米合意違反にはならないのか、政府の見解をお示しいただきたい。
21 木更津駐屯地で決められた場周経路の飛行高度は西側で900フィート、東側で1400フィートだが、これを守った場合、緊急時に基地外から着陸を試みようとしても滑走路に到達できない場合があるが、この場合の対策について明らかにされたい。
22 陸上自衛隊が購入するオスプレイの配備先について、木更津駐屯地を検討しているという報道があったが、現時点で検討している配備先及び時期などの計画について明らかにしていただきたい。
このページは、低空飛行・首都圏監視隊 Facebook の 首都上空で夜間・編隊・降下CV22オスプレイ訓練 政府が答弁書(2016年5月20日 13:08 投稿記事)で質問主意書と答弁書があることを知りましたので確認して記録したものです。
「しんぶん赤旗」のこの記事はネット記事としては出ていないようです。