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給食食材の放射線測定・質疑応答

甲府市議会2012年6月定例会

甲府市議会議事録 「2012.06.14 : 平成24年6月定例会(第4号)本文」から抜粋しています。文中のリンク設定は編者です。
関連してブログ記事 2012.09.08 甲府市6月議会_給食食材の放射線測定・質疑応答 を書きました。

2012.06.14 : 平成24年6月定例会 清水英知 議員(日本共産党)

14 : ◯清水英知君
 質問項目の第2は、学校給食で使用する食材の放射性物質測定についてです。
 甲府市は本年1月から、学校給食の食材の放射性物質測定を実施しています。5月からは測定品目数や測定回数をふやし、原則として、金曜日を除く毎日、翌日に使用する学校給食食材の2品目について、放射性物質測定を実施しています。甲府市が測定回数をふやしたことについては歓迎をします。
 一方、食材の使用を中止する基準について、甲府市が国の基準に基づいて、食材1キログラム当たり放射性セシウム100ベクレル、牛乳は1キログラム当たり50ベクレルとしていることについて、子育て世代の市民などから見直しを求める声が上がっています。5月14日には、より厳しい基準を設定することなどを求める要望書と、1,507人分の署名が甲府市教育委員会へ提出されました
 放射線被曝の健康への影響は、これ以下なら安全というしきい値はなく、少なければ少ないほどよいというのが放射線防護の大原則です。とりわけ、放射能への感受性が高い子供の健康を守ることは、日本社会の重要課題です。子供たちの将来の健康と保護者の不安解消のために、学校給食食材の放射性物質測定に関して、国の基準値よりも厳しい独自基準で臨む自治体がふえています。
 長野県松本市では、食材1キログラム当たり10ベクレルを検出下限として測定し、検出されれば、当該食材を中止するとしています。しかも、干しシイタケのように心配な食材については、より厳しい基準を用いているとのことです。
 札幌市では、測定器の検出下限値である同4ベクレル以上の値が検出された場合は、学校給食での使用を控えるとしています。
 福島県須賀川市も、測定値の検出限界値である食材1キログラム当たり10ベクレルを、飲料水、牛乳、乳製品については、同5ベクレルをそれぞれ基準値としています。
 茨城県常総市の基準値は、測定器の検出下限値の食材1キログラム当たり約20ベクレルです。
 また、基準値に満たない放射線量であっても、食材の使用を見合わせた事例もあります。
 東京都武蔵野市では、昨年10月、1キログラム当たり7ベクレルの放射性セシウムが検出された牛乳の使用を急遽見合わせました。この値は、当時の国の暫定基準値と比較して低い値ですが、同市の担当者は、保護者からの不安な声が多く、独自に判断したと報じられています。
 愛知県春日井市では、ことし2月、脱脂粉乳について保護者から、同じ工場で製造したものを取り寄せ、市民団体で測定してもらったところ、1キロ当たり16.8ベクレルのセシウムが検出されたとの電話があり、使用を見合わせました。
 甲府市の測定器の検出下限値は1キログラム当たり10ベクレルです。今後、先進事例にも学び、甲府市も、放射性セシウムが検出された場合には、基準値を下回ったとしても、当該食材の使用を中止すべきと考えますが、市長の考えをお示しください。

22 : ◯教育部長(長田敦彦君)
 学校給食食材の放射性物質測定についてお答えをいたします。
 本市教育委員会では、本年1月から、県内において先駆けて学校給食食材の放射性物質測定を専門の検査機関に依頼し、開始したところでございます。
 また、このたび、消費者庁が実施する放射性物質検査機器の第3次配分におきまして、本市に検査機器が貸与されたことを受け、5月14日より、原則として金曜日を除く平日の毎日、2品目について、学校給食食材の測定を行うこととし、測定品目数もそれまでの週3品目から週8品目にふやし、検査内容の充実を図ったところであります。
 流通する食材は、出荷制限などの措置により、その安全性は確保されていると認識しておりますが、測定検査を充実したことにより、保護者の皆様の不安の解消に一層つながるものと考えております。
 測定の結果、4月1日より国が設定した新基準値である、一般食品は1キログラム当たり100ベクレル、牛乳は1キログラム当たり50ベクレルを超える値を検出した場合は、食材の使用を中止することとしております。
 また、測定結果は、給食使用日の前日に甲府市ホームページ及びその携帯サイトにおいて公表をしております。
 こうしたことから、現時点におきましては、本市独自の基準値の設定は考えておりませんが、今後とも、食品の放射性物質に関する情報及び国や他都市の動向などを注視するとともに、測定結果などの状況を総合的に考慮し、対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

24 : ◯清水英知君
 次に、学校給食食材の放射性物質測定についてですが、これについては、特に市長さんの思いをお聞かせ願えればと思っております。教育部長さんからの御答弁は、より厳しい独自基準を設けることは考えていないといったものだったと思いますけれども、先ほど質問で紹介した独自基準を設けるなどした市長さんたちがどのような思いを持っていらっしゃるのか、会見やマスコミ報道などからちょっと紹介したいと思います。
 松本市の菅谷昭市長さんは、これだけお父さん、お母さん、御父兄が心配されていることに対して、行政はそれにこたえることをやっていくべきだと思っております。松本がまず手を挙げてどんどん進めば、他がそれのいいことをまねてもらえばありがたいなと思って進めている。これは昨年11月4日の記者会見での発言です。
 札幌市の上田文雄市長の発言は、食べさせたくないです、子供には。そういう保護者の皆さん方の支持があるからであります。やはり子供ということからいいますと、これは大人の責任として、できるならば、それは排除していくということが正しい選択だというふうに私は思います。4月の12日の定例記者会見でおっしゃったそうです。
 また、福島県須賀川市の橋本克也市長は、より安心感が得られるように独自に厳格な基準とする。多分、世界一厳しい基準になっていると理解していると話しています。昨年12月21日の発言で、これはマスコミ報道されました。
 いずれも市民の不安にこたえよう、子供を大切にしようという思いが伝わる力強い発言だと思います。甲府市が週4日の測定を実施していることはよいのですが、それだけでは不安を解消するには至っておりません。検出をされたら使わないということをはっきりさせてこそ、願いにこたえられると思います。

28 : ◯市長(宮島雅展君)
 またいろいろな角度から検討をしてみたいと、そんなふうに思います。
 子供の健康をしっかり守っていくことは、親御さんや私どもとしても思いは同じですからね。いろいろな角度から検討していきます。
 以上です。

2012.06.14 : 平成24年6月定例会 山田 厚 議員(社会民主党)

53 : ◯山田 厚君
 続きまして、放射能汚染食材の問題です。
 放射能汚染で最も高い危険性にさらされているのは、成長期の胎児であり、子供さんです。社会の未来のためにも、子供を守る義務が私たち大人にあります。
 この図は甲府に避難してきたお母さんに紹介されたもので、私自身もホームページで調べたものです。私自身も認識が足りなかったんですけれども、甲府市・山梨県の放射能汚染の程度は比較的低レベルということです。これは『食品と暮らしの安全』という雑誌からとったものだそうですが、文部科学省の放射線モニターの情報からつくったものだそうです。
 この色にあわせて見ていくと、もちろん東北の関係、それから関東、それから信越、静岡などで、この山梨県甲府は危険性は極めて低い地域ということだそうです。これはほかの調査でもいっぱい出ておりますね。放射性の降下量で見ているということなわけですけれども、そうなってくると、放射能汚染対策というものは、関東とか東北と違って、まずは食べ物でやって、そして山梨県外からの食材に十分注意すること、特に私たち山梨県甲府の地産地消をもっと進めましょうということになるのではないでしょうか。
 そこで、子供を守るために、学校給食と保育所給食の食材の安全性をしっかり確保することだと思います。
 そして、比較的安全な甲府産や山梨県産のものを使うこと、地産地消を徹底することです。このことは、特に農業に重きを置いている中道と上九一色との合併をした甲府市として、その農業を未来あるものにするためにも、小中学校あわせて毎日給食1万5,000食の地産地消を進めることは当然なことです。
 しかし、本市の地産地消は意外と低迷しています。甲府市の地場産物の小中学校の給食への活用率を見ると、2009年度は36.4%であったものが、2010年度は34.4%に下がり、2011年度はさらに下がって30.8%になっています。地産地消が低下傾向ではよくありません。
 この状態になっている原因は、学校給食の広域ブロックの統一献立、同日実施にあることは明らかです。地場の産物でも、500食分、1,000食分ならその日にあわせて供給することはできます。しかし、広域ブロックの5,000食分となると、供給できないことにもなります。そうなると、県外産のもの、加工食品、冷凍食品にもなってしまいます。
 質問します。
 学校給食と保育所給食食材の安全確保をどのように行いますか。放射性物質の検査はすべての食材を対象に、一定の数値が検出された場合には、その食材を使用しないなど、甲府市独自のより安全な使用基準を設定すべきです。
 また、保育所給食の検査体制と基準も早期に確立すべきです。食材の選定においても、放射能物質を取り込みやすいキノコ、タケノコなどの食材を警戒するなど、そのための学習会を栄養士さんから始めるべきです。
 先ほど言いました地産地消の問題です。比較的安全な地産地消の推進を徹底すべきです。そのため、小中学校においては、自校の単独献立を目標に、当面は広域ブロックの細分化を早期に行う必要があります。
 なお、要望ですが、今後とも畑や田んぼの土壌の安全性を維持すべきで、農家が購入して使う堆肥や肥料が放射能汚染されていては、今後とも、つくられる農産物の安全性は損なわれることになってしまいます。甲府市の農林振興課はこのことにも注意し、農家への指導をお願いします。

55 : ◯福祉部長(長田一弘君)
 公立保育所の給食の安全確保についてお答えいたします。
 食品中の放射性物質の基準につきましては、平成24年4月から新たな基準値が設定され、食の安全が確保されているところでありますが、本市の公立保育所におきましては、給食の一層の安全・安心を図るため、教育委員会で管理する国から無償貸与された放射性物質検査機器の操作について、既に職員の研修を行っており、定期的に検査を実施してまいりたいと考えております。
 また、食材を納入する業者に対しましても、産地と安全性についての確認を徹底するよう指導し、調達を行っているところであります。
 今後も、情報の収集等に努める中で、保育給食の安全を確保してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

57 : ◯教育部長(長田敦彦君)
 学校給食食材の放射性物質測定等についてお答えをいたします。
 先ほどの清水(英)議員の御質問にもお答えいたしましたが、教育委員会では、学校給食食材の安全性を再確認するとともに、保護者の不安を解消する一助とするため、本年1月より、本市独自に給食食材の放射性物質測定を行ってきたところであります。
 また、このたび、消費者庁が実施する検査機器が本市に貸与されましたことから、5月14日より、それまでの週3品目から週8品目にするなど、測定回数と品目数をふやし、検査内容の充実を図ったところであります。
 こうした中、放射性物質を測定する食材の選定につきましては、原則として、山梨県を含む17都県を産地とする食材を中心に、過去に出荷制限となった食材や、給食で使用頻度の高い食材を選定しております。
 測定の結果、国が新基準値として設定した一般食品は、1キログラム当たり100ベクレル、牛乳は1キログラム当たり50ベクレルを超える値を検出した場合は、食材の使用を中止することとしており、また、学校栄養職員につきましても、放射性物質を含め、食品の安全性の情報について、なお一層共有してまいります。
 今後も、学校給食の放射性物質測定につきましては、食品の放射性物質に関する情報及び国や他都市の動向などを注視するとともに、測定結果などの状況を総合的に考慮し、対応してまいります。
 次に、地産地消の推進につきましては、甲府市内のどの学校の児童生徒でも、同じ金額で同じ献立の給食を食べることができますよう、統一献立を採用しておりまして、また、これによる一括購入で、良質の食材が安価に安定的に確保できますことから、ブロック制を採用しているところであります。
 今後も、こうしたメリットを考慮し、現在の体制において地産地消の推進を図ってまいります。
 以上でございます。

59 : ◯山田 厚君
 今の部長さんの答弁にはちょっと不満ですね。幾つかありますよ。ちょっと感度が悪いんでしょうかね。例えば学校給食会で、平成24年度の方針書を見たら、その基本の柱に食の安全性とうたわれています。安心して食べることのできる給食の提供と書いてあるんだけれども、アが食品添加物、これよくないと書いてあって、イに遺伝子組み換え食品、よくないと書いてあって、ウに食肉は国内産だよと書いてあって、でも、エがないんだよね。放射能汚染食材とか、今点検しているものに対してないですよ、平成24年度に。だから、ちょっと感度が悪いかな。そんな意地悪な言い方じゃないですけれども、そういうふうに思わざるを得ないです。
 そして、言われていることの中で、広域ブロックのやり方でメリットがありますと言われたけれども、デメリットがあるでしょう。メリットを強調だけされて、デメリットがあるじゃないですか。例えば、防災に弱いことですよ。台風や何かで山梨県甲府は、すぐJR東日本も交通網も遮断されるでしょう。身延線もとまっていましたよね。それから、食品衛生の問題ですよ。食品衛生が一たん起きたら、広域に広がっちゃうじゃないですか。それから、食育ですよ。郷土の食材で郷土の料理をつくりましょうといったときに、ちゃんとできますか。それから、広域を改めるべきだというのは、文部科学省の何年も前からの方針に出ているんですよね、O-157から。このところを見ていっぱいデメリットがあるじゃないですか。そこのところをちゃんと考えていただきたいと。
 それからもう1つ、国の動向と他都市の動向と言われたんだけれども、今の部長さんの御答弁では、国の動向は見ているけれども、他都市の動向の見方が足りないですよね。私も足りないんですけれども、北海道の札幌市では4ベクレルだと。要するに、さっき言いましたように、100ベクレルと50ベクレルというのは国の基準だから、自治体としての方針じゃないですよ、国の動向そのものだから。それにもかかわらず、いろいろな自治体では4ベクレルとか、10ベクレルとか、こういうのがいっぱい出ているじゃないですか。動向を見るんだったら、こっちも見てもらいたいと。国が言っていることをそのまま安全だよと考える時代は、もう終わっているんじゃないかと。ですから、この辺のところ、ぜひ考えていただきたいと思うんです。
 ですから、不検出でいいんだけれども、数値が出たんだったら、その時点で検討をして対策を立てるべきですよ。それが10ベクレルだろうと何だろうと。この時点を大切にしてもらいたいと思うんです。このことについては再質問します。いかがですか。

61 : ◯教育部長(長田敦彦君)
 学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資するものでありまして、栄養バランスのとれた給食、おいしく安全で安心で食べられる給食を安定的に提供することを本旨としていると理解しております。
 こうした中、放射性物質の測定検査により、仮に測定下限値を上回る数値が検出された場合は、その数値、その食材の量、献立全体への影響などを総合的に考慮して判断をしたいと考えております。
 以上です。

63 : ◯山田 厚君
 今の部長の御答弁というのは、さっきの答弁より前向きになったんですよね。下限値は10ベクレルだから、10ベクレルを超えて数値が出た場合には考える、総合的に判断するということになったんですよね。私は、ぜひここのことをちゃんと実行していただいて、10ベクレル以上になったらぜひ検討していただきたいと。
 そして、本当に危ないものならば、検出されているものならば、翌日に出る献立から停止すべきというのが、お父さん、お母さんの考え方だと思いますよ。
 それからもう1つ、ここでも言えることは、広域ブロックで5,000食移動するということはかなり厳しいですよ。だから、そのためにも、一般的な食品汚染の問題じゃなくて、放射能汚染の問題だって、検出された場合にとめるというのは、5,000食じゃかなり難しくなってくる。だから、こういうことも含めて、ブロックの細分化はぜひ検討していただきたいと思います。これは要望です。