リニア中央新幹線

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第186回国会 参議院 国土交通委員会
平成26(2014)年5月13日

以下は国会議事録から辰巳孝太郎議員による質疑応答のリニア中央新幹線関係を抜粋したものです。
縦書き文書で用いられる数字はアラビア数字に変換し、元号表記に西暦を付加、長いセンテンスを適宜改行するなど、Webページとしての編集のみ行なっています。
文中の注釈やリンク設定は編者によります。
原本は、国会会議録検索システム 参議院会議録 から 第186回国会 国土交通委員会 平成26年5月13日 第13号 で読み出せます。

答弁に立ったのは
 国土交通大臣 太田 昭宏君
 国土交通省鉄道局長 瀧口 敬二君
辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。

 まず最初に、リニア新幹線についてお聞きします。

 先月(4月)の23日、JR東海から環境影響評価書が国交省に提出をされました。大臣は4月10日の本委員会でも、知事の意見が環境保全対策にどのように反映されているか含めて、また環境大臣の意見等も勘案し、関連法令にのっとって対応していくと、十分ここは注視し、見ていかなくてはならないということで答弁をされています。
 あの評価書の提出、自治体の意見書がそろった後、非常に短期間のうちに提出されました。あれだけ厳しい意見が各自治体から出そろったのにもかかわらず、短期間で提出をされております。

 そこで、国交省にお聞きをしますが、JR東海が各自治体の騒音や振動、水がれ、動植物また人体、環境への影響の懸念をこの短期間で提出された評価書で払拭したと考えていますでしょうか。
○政府参考人(瀧口敬二君)
 委員御指摘のように、このリニアの環境影響評価書につきましては、7都県の知事の意見が3月の20日から25日まででございました。これを踏まえて、私どもが評価書をJR東海から受け取りましたのが4月の23日ということで、一月弱という期間でございます。

 先ほど大臣の答弁についてお話がございましたけれども、まさに環境影響評価法に基づきまして、知事の意見がどのように反映されているのかということについて精査をしているというところでございます。

○辰已孝太郎君 ある自治体の担当者は、意見を最大限評価書に反映する気があったのかと、この評価書に対して不信感を表しておりますし、私、特に大きな問題の一つは残土、発生残土ですね、この問題だと思っています。

 3月の13日の本委員会で、私の質問でもこの残土の問題を取り上げました。準備書の時点で残土の置き場所候補地が示されているのは全体の6%ということで明らかになりました。

 そこで、国交省に聞きますが、この評価書の時点、今回の評価書の時点でこの発生土の行き先、処分先が決まっているのは全体の何%ですか。
○政府参考人(瀧口敬二君)
 今回、約一月弱ということで評価書が出されておりますが、その背景についてJR東海に確認をいたしましたところ、今回、7都県の知事からいただいた意見の大半の事項については、既にこれまで各都県での説明会や審議会などの場において示されたものであったということで、JR東海としてはそういった意見に備えて準備をしていたということであります。今回の評価書の中には、提出された知事意見については全ての事項について現時点での対応の考え方を整理をして盛り込んだということでございますが、先ほど申し上げましたように、現在、そういった点を含めて精査をしているところでございます。

 委員御質問の建設残土の問題でございます。4月23日に国交省に送付された評価書におきましては、新たに再利用を想定している量として900万立米が追加されております。昨年の準備書の段階の360万立米と合わせて1260万立米について置場あるいは再利用が今回想定されているということでございまして、全体の建設残土の想定が5680万立米ということでございますので、22%について今回の評価書の中に盛り込まれていると、こういったことでございます。

○辰已孝太郎君 22%が決まっていると。大半が決まっていないということでありました。

 土井政務官は同日の委員会で、JR東海に対して建設発生土を含めて適切に対応するよう指導してまいりたいと思っておりますと答弁をしております。私は、やはりこの残土の行き先がまだこれ大半決まっていないにもかかわらず、私はこのリニア新幹線の着工の認可を出すべきじゃないと思いますけれども、国交省はこの建設の認可に向けて突っ走るつもりですか。どうですか、大臣。

○国務大臣(太田昭宏君)
 そういう表現は当たらないというふうに思いますが。

 私は、4月23日にJR東海からリニアの環境影響評価の送付がありました。国交省は、環境影響評価法に基づいて、直ちに評価書一式を環境省に送付をしたと。これは昨年9月からの準備書が出されて、3月の20日から25日までの関係7都県知事からの提出された意見を踏まえて評価書として作成されたと。現在のところは、送付された評価書については、現在、法に基づいて精査をしているという状況にありまして、その際に、知事からの意見がどのように反映されているかについてもしっかり検証していくということでございます。

辰已孝太郎君 しっかり検証していくということですが、私は、やはりこの評価書について各自治体から様々な声がもう上がっております。
例えば長野の県の知事からは、表現がはっきり読み取れない部分もあると。
また、静岡県では6月にユネスコエコパークの登録が迫っていますが、JR東海はユネスコエコパーク登録は阻害しないような計画というふうに示していますが、県の担当者は、それは見解の相違だと、こういうふうにも言っております。
各県知事の意見が評価書に反映されていないことへの不満というのが次々に出ています。

 このリニア新幹線は、その必要性、採算性、また環境、人体への影響、電力の消費等々の問題、そして都市の在り方を変えてしまうほどの大事業でありながら、ほとんど国会で審議がされていないし、JR東海は自治体や住民の声を聞く姿勢が見られません。私は、このような事業に国土交通省が着工のお墨付きを与えてはいけないということを強く求めたいと思います。

 続いて、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案についての質疑に移ります。
(以下略)
第186回国会 国土交通委員会 第9号 平成26年4月10日
辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。

 本法案は、海外へのインフラ輸出に国が関与して支援するものであります。インフラには新幹線やリニアなども含まれてまいります。

 私は、3月の13日の質問でもこの国内のリニア問題について取り上げました。リニアは路線の多くがトンネルですから、残土の問題ですね、6359万立米、これ東京ドーム51個分出てくると。しかし、行き先が決まっているのはそのうち6%ほどだということであります。また、騒音問題、振動、日照、大気汚染、磁場、磁界、景観、動植物への影響の不安がいまだに払拭をされておりません。

 3月の25日に、沿線の7都県の知事がJR東海に対して意見書をまとめて提出をいたしました。各県の意見書が、騒音、振動、地盤沈下等々の影響でJR東海の準備書は過小評価の可能性があると、また、事業計画の具体的な内容が明らかじゃないということで根本的な問題を厳しく指摘したものにこの意見書はなっております。

 そこで、大臣に、改めてこのような知事の意見をどのように受け止めておられるのかをお聞かせください。
国務大臣(太田昭宏君)
 リニア中央新幹線の環境影響評価準備書に対して関係都県知事からの意見につきましては、環境影響評価法に基づいて、長野県及び山梨県から3月20日、東京都からは24日、神奈川、静岡、岐阜、愛知からは25日、これが全て調ったというふうに承知しています。

 これらの知事の意見を踏まえたアセス結果が今後JR東海によって作成されて、国土交通大臣及び環境大臣に提出をされてくるという予定になっています。なお、各知事からの意見及びこれに対するJR東海の見解は、環境影響評価書の中で示されることになります。

 現段階ではまだ国に環境影響評価書が提出されていないために各知事からの意見に対するコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、国土交通省としましては、JR東海からの環境影響評価書の提出を受けまして、知事の意見が環境保全対策にどのように反映されているかを含めまして、また環境大臣の意見等も勘案いたしまして、環境影響評価法など関係法令にのっとって対応していくこととしていきたいというふうに思っています。
十分ここは注視をし、見ていかなくてはいけないというふうに思っているところです。

辰已孝太郎君 JR東海は、この間、各地で説明会も開いておりますが、どこでも出されている声というのは、JR東海が自治体や周辺住民の声を聞く姿勢が感じられないと、こういうことでありますし、今回の意見書の中で、山梨県の知事意見を見ますと、こう書いてあります。

環境基本法第16条に定められた環境基準というのは、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として定められたものであり、現在の環境が環境基準を下回っているという地域において、対象事業による環境影響を当該基準値まで地域住民等に許容させることを定めたものじゃないと。
今いい環境が、これが少しでも悪くなる、でも許容されると、そういうことではないんだよと。
公害問題で非悪化原則ということが言われましたけれども、これをちゃんと踏まえてほしいということで、JR東海の不誠実な対応というのを批判をしております。

 私は、JR東海のまともにこの説明しない、資料も明らかでないというのは、手続の大前提に関わる根本的な問題だと思いますし、リニアの採算性ですね、人体、環境への影響も含めて議論が尽くされていない問題だと思っておりますので、今からでもリニアはストップさせるべきだということをまず訴えておきたいと思います。

それでは、本法案の質疑に入りたいと思いますが、そもそも政府自身が海外へのインフラ輸出の推進をしなければならない理由をお聞かせください。

(以下略)