山梨県議会での質疑応答 2009年11月定例会
山梨県は「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」に「山梨県リニア影響基礎調査」を委託しており、この質問は2009年10月に出された中間報告を踏まえたものです。
可読性を考慮して、長い段落は改行など追加・編集しました。数値をアラビア数字に変更してあります。元号記載に西暦を追記してあります。
まずは、リニア中央新幹線の整備についてであります。
私のような立場、そして山梨県人というのは、このリニア中央新幹線の議論をすること自体がタブーだとされてきました。しかし、過日、三菱UFJコンサルの影響調査の結果が出ました。私はその結果を見て、光の部分、プラスの部分だけが強調されていると思いました。今こそ、我々はまさにこの議会の場で、リニアについての真の議論をすべきだと、私は思います。
御指摘のように、リニアには、もちろん光もあれば、また、影もあるわけでありますし、国民、県民の間にいろんな議論があると思いますから、議会の場においては、そういった問題について率直に議論していただくのが適当だと思います。
これは一般の有識者が言われていることですが、リニアの必要性ということにつきましては、東海道新幹線ができて、あれが昭和39(1964)年ですからもう50年たつと。そうすると、耐用年数が近づいてきているということであります。加えて、朝のピークのときには1時間に11本と非常に密に通行があるということでありまして、そろそろ、やはり大規模な改修とか改築が必要なわけでありますけれども、しかし、今の状態ではなかなか長い時間とめて改築をするというのは非常に難しいと。
やはり、バイパスとしてのリニアというものがあって、それに回すことによって現在の東海道新幹線を改築していくという必要があるんじゃないかというような議論とか、あるいは、東海地震というようなことが言われる中で、現在の東海道新幹線が長期にわたって途絶するようなことになれば、日本の経済あるいは社会に非常に大きな影響があると、したがって、そういう災害に対しても、やはりもう一本、バイパス的なものが必要であると、そういうような議論から、リニア中央新幹線が必要だと言われているということだろうと思います。
私は、まさにマイナスの部分、例えば電力の供給については原子力発電所2基分、あるいは電磁波の問題、さらには駅を建設する際の負担の問題、これらを考えたときに、議論というのは、マイナスの部分もやはり同じ土俵に上げて議論していかないと、でき上がったときに、まさに山梨県も負担を強いられるわけですよね。そのときに、30年たったとき、あるいは50年たったときに、我々の子供や孫の時代に、何でこんなものをつくってくれたんだということにしてはいけないと思うんです。
先ほど申し上げましたように、リニアにも、もちろん光もあれば影もあるわけでありますから、そういうものについて、将来の我々の子孫のためにもしっかりと議論をして県民のコンセンサスを得ていくということは大切なことだと思います。
私は今まで、知事が発したコメント、そういうものを新聞紙上等で拝見していて、例えば駅をどこにするかという問題が出てきたときに、知事はみずから発信もしました。
できるだけ甲府に近いほうがいいとか、あるいはJRの身延線に交差するところだとかと、そういうものが聞こえてきたんですけれども、私は、知事としての立場からは、そういう、駅をどこにするかとか、そういった議論ではなくて、もうちょっと知事には高いところに立っていただいて、我々がするような議論、地域の議員さんたちがするような議論は、私はしてほしくないわけですね。
もうちょっと高いところで物事を眺めていただきたい。そして、いろんな議論が出そろったところで、まさに最終的に、知事に、こういうことじゃないかという結論を下していただきたいと、常々思っていたわけであります。
そこで、山梨県の将来を見据えたときに、人口が減っていく、あるいはリニアによって、例えば15分で東京に行けるという時代が来たときに、流入してくる人口は確かにあるでしょう。しかし、逆に、東京という都会に出ていく人口もそれなりにあるわけなんですよね。そういうことも考えなければならないということだと、私は思うんです。
この間の三菱UFJコンサルが出したものの中で、例えば、産業の生産額が146億円増加する、あるいは交流人口が2万人ふえる、こういう議論がまさにそうだと、私は思うんですよ。そういうものこそ、もっともっと議論していきたい、こういう場で議論をしていくべきだと思っているわけであります。
リニアが開通することによる光と影の部分、こういったことについて、もちろん十分いろんなところで議論をしていく必要があると思っています。
今回の調査につきましても、これからリニアを活用していくための基礎的な事柄について調査をさせていただいたわけでありまして、当然、そこに、146億円の効果があるというのが出ておりますけれども、これは、一定の統計のデータをベースにしまして、そして、一定の条件のもとに導き出された数値でございます。
その数値は客観的なものではございますけれども、それが本当に合っているとか合っていないとかという議論じゃなくて、そういったリニアのインパクト、リニアの開通のインパクトが出てきたわけですから、そういったことを踏まえて、今後、いろんな場面で議論をしていただくたたき台になると思っております。
以上でございます。
今、部長が答えましたけれども、一定の前提を置いた推計値ということでありますから、そのとおりに確実になるとかどうかということはわからないわけでありまして、一つの参考として、そういうものも参考にしながら、いろいろとこれからのリニアに対応していくということだろうと思います。
私個人申し上げますと、この数字の結果というのは少し小さいんじゃないかと率直に思っております。
というのは、リニアによって山梨県の産業の生産額が146億円ふえると。146億円というといかにも大きそうに見えるんですけれども、それは山梨県全体の生産額の何%かというと0.2%なんですよね。
リニアができることによって、駅ももちろんできると。そういう前提に立って、山梨の生産額というか、県民生産額がたった0.2%しかふえないというのは、これは少な過ぎるんじゃないかと、私はむしろそう思うわけですね。
委員の中にはいろいろと意見があって、過大だとか光だけ見ているとか言いますけど、この数字はむしろ少ないんじゃないかと、私は思っているわけです。
また、今お話がありましたけれども、交流人口が2万人ふえるという話も、そのうちの観光関係は5千人ということなんですけれども、これだって山梨県全体の年間の観光客に比べれば、4%かそのぐらいふえるという程度なんですよね。
交流人口の部分で、観光人口、1日に5千人なんですよね。1日に5千人ふえるということが、私はちょっと知事とは違うんですけれども、これはもともとの見解の相違ということで、私は時代の成り行きが、知事が考えているような時代にはなっていかないと思っているぐらいなんですね。むしろスローライフを求めていく、そういう時代に移行していくんだと、私は思っているわけです。だから、これはもうしようがないと思います。
では、次の質問に移ります。
廃棄物の最終処分場についてであります。
内田 健(うちだ たけし)さんは自民党系の県議会会派「改革21」に所属された方です。平成16(2004)年12月定例会における山梨県教職員組合による組織的な政治資金集めと教職員の政治活動についての質疑応答が紹介された記事を私は読んでいます。平成19(2007)年4月の改選で3期目当選、5月の臨時議会で第117代議長に就任されています(やまなし県議会だより No.112)。議長は平成20(2008)年6月議会まで務めて退任されました(県議会だより No.117)。この質問のときには「自由民主党輝真会」という会派に所属されていました(県議会だより No.122)。平成25(2013)年4月の改選には4期目の立候補はされませんでした。