◇公共事業が成功するには、技術の信頼性や環境への適応性、経済性の3つの要素が満たされることが基本である。しかし、リニアの超電導磁気浮上方式は未熟な技術と思われ、危惧される。環境影響評価は、事前に行われず、事後の評価が多いようで、河川の水の枯渇や自然環境の破壊が目に見えている。山岳や都会の長大トンネルから出る土砂の搬出先はほとんど未定である。収支見通しは楽観的で、収益計画の信憑性が疑われる。
2017年7月8日 リニアは、国を揺るがす愚策な事業であり、「国策民営事業に関わる13のリスク、甚大な懸念」を指摘したい。 【TEXT】
「安全神話」は、絶対に許されない。
なぜか、同研究所の29_2017年度事業計画書では、リニア関連について記述が少なくて驚いた。受託研究する浮上式鉄道分野について情報公開は、極めて限定されていて、当分の期間、マル秘の技術だろうか。
“高温超電導磁石”の開発は、開発途上の未熟な超高速走行技術であり、技術開発基本計画を平成34年度まで完了予定を延長している。
この“高温超電導磁石”による技術開発を実験線において、どのように実用化、試運転していくのか?
超電導磁石 (ビスマス系銅酸化物)は、推進コイル、浮上と案内の兼用コイルになるが、高温超電導コイルの場合、-255℃まで冷却することでリニア用超電導磁石として使用可能となる。
冷凍機による冷却により液体ヘリウム等を用いないので、構造も簡素で省メンテナンスとなるという。
さてはて、いつ、国民に実用化された「安全安心を確証された情報」を開示できるのか?
今の段階では企業秘密で開示できませんとは!!
公共乗り物の走行技術について、国民に情報を開示できないことが「不都合な真実」である。
時速500kmで緊急停止する時間は90秒かかり、約6kmも走ってしまう。
長大トンネルにおいて、地震、火災、車両による事故ある場合、非常口(斜坑、縦坑)から安全安心に救助する体制が「未知の不確実性」がある。実験線で何十万キロ走行しても、緊急時での避難訓練を公開したことはない。
乗務員数名が山岳トンネルでどのように乗客を脱出させるのか?
激震災害では、沿線の自治体、地元も被災している状況を想定する必要性もあるが、長大トンネル計画が「異常な、非常識な不条理な事業」であることを認識するべきだ。
公共事業での安全安心に関連する情報は、適正に公開されるべきだが、JR東海にはその姿勢はない。
いかなる事故、事件に対しても、超高速リニアの乗客を守る危機管理能力は十分に完備しているのか?
停電対策について総合的な「安全安心」を保障する体制と情報をいつ開示できるのか?
全電源喪失状態は絶対にないのか?
駅間で停車する可能性と乗客を安全に退避、救出できるのか?
公共事業において、「不都合な真実」が隠されていては、事業として全く不適格である。
あらゆる想定されるリスクに対して、「安全安心」が確立、確証されなければならない。
原発の推進において、「大丈夫です」、「管理できるでしょう」という国民を騙した安全神話」は絶対に許されない。
天災や、あるいは、人災に遭うリスク危惧が大きいことをJR東海は、認識して、「難工事と予想」している。
鉄道法5条1項によれば、「建設工事に伴う人に対する危害の防止」が不十分で、適切でない場合、国交大臣は事業を認可してはならない。
さて、国土交通大臣や、JR東海など関係者はどのように認識して、事故ある場合、責任をとれるのか?
本来、環境影響評価を慎重に時間を掛けて、多くの分野で広範囲に行うべきだが、全く不十分で、不適正だった。
鉄道建設環境影響評価省令では、さまざまな環境要素について、「良好な状態を保全するべき調査、予測および評価されるべき」だが、十分万全に時間を掛けて実施されなかった。
環境基本法の施策の策定に関わる指針として、14条では次の通り規定している。
一 人の健康が保護され、および生活環境が保全され、習いに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
二 では、生態系の多様性の確保などについて定めている。
しかし、短期間にJR東海が行った環境影響評価書には、多くの項目において認可の要件を欠く不適正で、違法な内容である。
短期間で拙速に行われた環境影響評価をもとに、国土交通大臣は安易に認可を行った。そのために、杜撰さを現実に示すように、各地でさまざまな甚大な影響が指摘されている。「事後調査」や、モニタリング調査による難題が増加して工期にも影響してくる。
環境影響評価が各地で適正に行われなかったで、都会の大深度トンネルの地上の地権者や、山岳トンネルの地上の山、畑の地主も、今後、当然の補償を要求するだろう。
実施された事業や用地・測量の各地の説明会では、JR東海は住民から信頼性を得られていない。
そのため、住民の理解と協力を得る円滑な関係には程遠く、今後、予定される工事説明会などでは多くの紛糾場面があるだろう。
建設工事費と工期は、事業計画の予測を大幅に上回ることは明らかであり、単独企業の経営リスクが大きすぎると断言できる。
騒音・振動、日照阻害、用地交渉に対して、各地でようやく「リニアが巨大な迷惑施設である」と気づき始め、地域や自分たちの権利を守らなければと動き始めている。
沿線の住民と自治体は、「地域の将来を危うくする」と現実的に不安を目の当たりにして、慎重な対策と十分な補償を要求するべきと行動の輪を広めている。
工事期間は8~10年といわれ、工事中の重機、ダンプなどによる騒音・振動など暮らしへの影響、二酸化窒素や粉塵による健康への被害に対して十分な補償が講じられるのか?
沿線の自治体は、杜撰な土砂処理計画に関して、厳正な指導管理と監督責任が問われている。
住民に日常的に負担がおよび、こどもや高齢者の「安全安心」が守られるのか多々懸念される。
*川崎市麻生区東百合丘の非常口工事も着工され、直径39m、深さ100mの巨大な立坑が建設される。市には、騒音振動規制基準がある。市民の生活と健康を守るために、10年にもわたる工事車両の騒音は、昼間55db以下、夜間50db以下に遵守できるのか?
*相模原市緑区の橋本駅付近に、リニア神奈川県駅が建設される。地下約30mに駅を整備するため、なんと約 600㎡ の範囲を掘ることになる。
*町田市内を東西約10kmにわたりトンネルが横断する。市内には3か所の非常口が建設され、土砂の搬出量は 20万㎥ と予測され、大型車両が1日最高で350台が往来する。
詳しい各地の実情については、「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」「同相模原連絡会」などをぜひご覧ください。
沿線住民との「工事協定や確認書」が取り交わされていない中で、JR東海は「計画ありき」で、納得のいく説明や問題点を解消しないままで、社会性に反して工事を進めている。
国策民営事業として、国土交通大臣も各自治体も行政責任を適切に果たさなければならない。
リニアは、我が国の国土や環境をズタズタに改変し、沿線地域が犠牲となり、国の健全な発展を揺るがすことを危惧する。
地形や強い風による影響調査も必要だが、山梨県も沿線の市町も積極的に調査を促す姿勢がない。
高齢者が増えて、2Fで在宅ケアを行うケースも増えるので昼夜の騒音公害があってはならない。
また、深夜や早朝に、高齢者や子どもへの安眠を妨害する懸念も大きい。
「等音線」による騒音被害が広域的に及ぶことを、住民に分かりやすく示しながら、対策と補償について協議するべきではないか。
JR東海がどれほど聴く耳をもって対応できるか?
実験線では、5両編成による単線走行の限られた環境における実態データをもとに、予測される影響を算出している。
仮に、営業線が開業後、予測値通りに収まるのか?
開業後に、実施できる保全措置について、十分事前に、具体的に示すべきだ。
県が、年内に「地域類型Ⅰ(住居地域として)」を決める:
山梨県の沿線住民は騒音対策のために、防音・防災フードを強く要求している。富士川町内3地区で6月下旬、リニア騒音に関する意見交換会を町が主催した。
地域を挙げた署名活動を活発に行った天神中条区では、大勢が参加して、「地域類型Ⅰ(住居地域として)」を熱く意見して認める方向で合意していた。
町は、他の地区でも、「騒音の規制区域」を中心線から400m以内を騒音上限70dbにするよう町民の意見としてまとめるよう配慮していた。
県が、400m圏内を「地域類型Ⅰ」と指定すると、富士川町内では、JR東海が防音フードの工事を余儀なくされる。
1) リニア騒音基準に新幹線の環境基準を適用することが、合理的で適正か?
リニアと新幹線とは騒音の発生メカニズムが異なり、空力音は、高架橋の高い音源から、数分間隔で発生し、減衰距離は長くなる。そのため広域的な被害が予測され、平穏な地域に深刻な騒音公害をおよぼすと認識するべきだ。
2) 実施計画の現段階において、県自らが、適正厳格な騒音規制を設けるべきでは?
県は、騒音による影響について認識して、独自の調査と主体的な規制を講じられないか。
県は、国とも協議を通じて、新幹線の環境基準に代わり、住民目線による、行政措置を取れませんか。
国土交通大臣が認可した杜撰な事業計画と環境影響評価書を修正するよう要求するべきではないか?!
国策民営事業に対して、県民と沿線の地域を守るために、歴史に残る判断と行政責任を毅然としてお願いしたい。
実験線では、高架橋によるさまざまな影響について環境影響評価を実施しなかった。
本線の計画においては、高架橋の影響について、ほとんど調査されず、不適正だった。
これは、山梨県は、実験線での環境評価、本線計画の準備書、補正書の段階で、住民目線で厳しく意見しなかったことも大きい原因と責任がある。
さわやかな風も田舎の潤いであり、恵みである。しかし、巨大な構造物にすがすがしい風も遮られてしまう。
路線の幅は、約30mとなり、地域を分断し、景観や風、そしてご近所のおつき合いも分断してしまう。
山梨県は、「リニアによる未来整備都市構想」などと夢のリニアに将来を託している。
しかし、自然環境や地域コミュニティーが壊され、財政にも負担を強いられるなどのマイナスの影響についてどれほどに認識して、対応できるのか、行政の責任である。
県や沿線市町、マスコミもリニアの負の局面に対して、真剣に捉えて、JRに適正に調査させずに、情報が提供されないことは大きな問題だ。
「陽射しは田舎の財産」であり、人々の財産権や生活権とも言え、地域の価値にも関わる。
以下4点は、日陰被害に苦悶している雨宮様の悲惨な状況です。
(1) 日陰のひどい被害
山間地の桃畑の自宅の南側に建設され、見晴らしがすっかり変わった。平穏な暮らしや、ぽかぽかの陽射しとさわやかな風が楽しみだったが、奪われてしまった。
11月から日陰が伸びてきて騒音にも苦痛になる。ご夫婦はストレスを感じ、日向を求めて散歩に出かける。雪が降ると、市道や庭の冷気が居座り続け、池の水温が冷たく錦鯉が死んでしまったが補償されなかった。
コンクリートフードは、汚染に対し洗浄作業がされるのか? 汚れ防止のコーティング処理されるのか?
数年後、平穏な美しい田園環境には高架橋の黒い土管が、盆地の景観を壊し、非健康的な環境となり、住民や子どもたちに精神的な苦痛をもたらす。
甲府盆地から四方八方に見られた富士山や八ヶ岳を眺望するすばらしい景観を遮る視界障害となる影響も深刻だ。
環境影響評価書(山梨県)のあらましでは、景観について「有識者による景観検討会を設けて、構造形式等の検討を行った」というが、甚だ信頼性に乏しい検討会だったといえる。
現地の静観な実情に対して、高架橋の直下や近距離からはもちろん、遠距離からも巨大なコンクリート構造物が住民に不快感をおよぼし、景観障害となることが明らかだ。
しかし、山梨県や沿線の市町が余りにも認識が薄いこと、あるいは、影響について問題視を避けていて任務的責任が欠如している。
住民説明会では、遠方から高架橋・橋梁を見たイメージ図しか見せていない。
JR東海が地域社会を軽視し、住民に背信している姿勢が垣間見える。
甲府盆地の扇状地は、急峻な山から豊富な地下水脈があり、果樹や生活用水に利用されている。
高架橋の基礎杭が打ち込まれると、水脈が壊され、水質が悪化する懸念がある。
JR東海は、詳細な調査をしていない中で、水路の付替え計画を行い、「周辺への影響が小さくなるように配慮する」という。
しかし、実験線トンネルの笛吹市内一級河川の天川に水枯れしたなどの被害をみると、巨大な構造物による地下水脈への影響は必至である。
当然に、現在と同じように安定的に地域の水を供給できるように、30年間だけでなく、恒久的に維持管理する負担を負うべきだが、地域との対策協議会がまだ設けられていない。
しかし、今、この地域に見限る若い世代も見られている。
(1) 町立体育館が移転せざるを得ず、移転先を地元の防災拠点のためにも地域内に残すよう住民は町に要請書を出している。しかし、先行きは見えず、町は混迷状態だ。
(2) 500年の歴史がある妙諸寺の墓地の移転を迫られている。祖先のお骨をどこへ、どのように移転できるのか。
高齢な住職と檀家さんは日々苦悩している。
(3) 富士川町内を約3kmリニア高架橋が横断して、甲府盆地を見下ろす県立の森の教室芝生公園にトンネル出入口が建設される。トンネルは約7mx10mある巨大な大穴であり、トンネルドンがどのように町内にこだまするのか。
(4) 工事前や、工事中、さらに将来にわたり騒々しい環境になる。
騒音、日照阻害など健康への不安があることなど住居地域としての魅力を見出せなくなる。
(5) 沿線の不動産価値が下がり、「売るに売れない」土地、家屋、残地があちこちに発生することも予測される。
町は、移転流出を避けようと、町内に代替地を確保しようとしているが、「地域全体の価値が高まり、住民にもプラスになる」と立証できるならば、示して欲しい。
町の山間地には、美しい景観や平穏な生活環境の魅力を見出して、この数年、若い移住者が増えている。
しかし、リニア騒動により、この健全な人の流れは止まりそうになることを深く懸念している。
*2007年 JR東海が自己負担で、2025年にリニア営業開始に向けた手続きしていると発表。
(JR東日本などは、全く関心を寄せず、以降、協力関係はないといえる)
*2009年、実験線延伸に着工(2013年完成)
*2014年8月、環境アセスをわずか3年間で終了。
(名古屋まで286km、大阪までは438kmの環境影響評価調査は全く不十分、不適切だった)
*2014年10月、国土交通大臣が工事実施計画を認可した。
何という矢継ぎ早の早業か、離れ技か!!
国土交通省、国会において、十分に審議されず、拙速な手続きは、不適正であった。何か、裏技か、忖度があったように疑問視される。
甘い収益予測:
・収益予測では、少子高齢化による人口と労働力の減少、乗客数の予想が甘い。
航空路の利用増加やICTによるテレビ会議などにより、リニア利用は、相当に限定されるのではないか。
・東海道新幹線よりも料金を1000円高く設定して、利用者の移動を図るとする。数千円に高くすると、新幹線からの移動を促進できずに、収入が厳しいとみている。このプラス1000円がの妥当性は追及されるべきだが。
・乗り換えなどに不便でもあり、高速バスの利用もさらに増加する。
・JR東海は、輸送需要の計画を見直して、国と国民に正確な予測を開示し説明するべきだ。
経費計画も杜撰:
・リニアの工事費計画では、なんとキロ単価210億円とされる。北陸新幹線117kmの、キロ単価69億円だった。
・トンネル断面積が74m2と広いこと、トンネル部に5~10km置きに非常口(換気用立坑開口部)を設ける、地上コイルや電力変換器などの特有の設備費が掛かるためである。
・長大トンネルの救助方法や、テロ対策の荷物チェックシステムの安全対策の費用計画が開示されていない。
・全国では残土が東京ドーム51個も発生するが、処理先を確保するには、自治体の協力と追加費用も発生する。
ナント無責任な処理計画であり、いい加減で、公共事業として不適格である!
・杜撰な環境影響評価だったために、「事後調査」と自主的に調査をするべきモニタリング調査の経費も嵩む。
「事後調査」は、環境影響予測に不確実性がある、また、環境の保全措置の効果に一定の疑念が残る場合、法的な義務として実施する。
この「事後調査」が各地で要求される事態は必然的に高く、経費予測を嵩上げして、工期にも大きく影響するだろう。
・資機材や労務費の高騰や、巨額の借入金に対する金利の上昇を計画に適正に盛り込んでいるのか。
・実現できるとしても、資本費と、さらに維持管理費は計画よりもバカ高くなる。
・在来線新幹線では、計画に対して、上越新幹線では3.5倍、東北新幹線97kmでは約2倍の巨費を投じて竣工できた。
・JR東海山田元社長は2013年に「リニアは絶対ペイしない」と公言した。
これほど、多大なリスクと危機管理能力について、日本科学者会議など各方面から危惧されているが、問題点を解消できないままに、事故はあり得る。
事故原因がなんであれ、業務上重過失の「結果責任」が国土交通大臣とJR東海経営者に課せられ、全ての責任を負わなければならない。
事業者として、公共事業の3原則である、「技術の信頼性」、「環境への適応性」、「経済性、採算性」を全て満たさなければならないが、いずれも不適格である。
さらに、JR東海は、沿線の地域社会との円滑な協力関係を一切築いていないことは大問題となる。
各地の説明会では、「丁寧にわかりやすく説明する」べきだが、JR東海の説明や情報の提供は、「住民目線」には程遠く、杓子定規であり、「不都合な真実」を開示できない実情にある。
同社社員が、マニュアル通りの説明を行うが、納得や理解を得られていないことを経営者は認識するべきである。
「国が決めた計画に沿って進める」という高圧的な姿勢について各地から強い非難が指摘されている。
沿線の県知事などは、「地元への説明や協議を丁寧に行うよう」JR東海に要求している。
当然の基本的な手順であるが、同社は、住民から信頼を得られるように取り組んでいない。
このような進め方は、社会から批判が増加して、時間的コストおよび、業務上の経費が今後さらに嵩むだろう。
住民との不安定な関係の中で、JR東海は経営負担が高まり、同社の経営の信認にも関わり、将来は「大丈夫か」と注視されている。
JR東海労組ニュース2014年の1985号でも、「環境破壊、安全、人体への影響、採算性、電力において、リニアの問題は未解決だ。」と指摘。
リニア反対プロジェクト「NO!リニア」では、「住民の意見を無視した工事をやめろ、撤回を求める、原発同様、取り返しの付かなくなる事業だ」と非難している。
JR東海社内では、業務運営の効率化を図るとして、
1) 徹底した要因削減や地方鉄道の無人化などを進めている
2) 政府の「成長戦略の目玉」として、政治的な思惑として活用されることの懸念があり、同労組は、財政投融資3兆円の受け入れを反対した
3) 融資について不明点や建設に関わる未解決の問題点を提起して、リニアが将来会社を破滅させないかと建設中止を主張した。(2016年11月の経営協議会において)
所有する全3工場をJR東海に売却 し、その後賃貸借契約を結び、引き続き工場を使用し事業を行っている。
米国向けの投資で巨額赤字を出したことは、東芝などとも共通し、安倍人脈に関わることも偶然ではないようだ。
同社は、甚大なリスクを認識しながらも、自己利益のために、「計画ありき」で、工事を見切り発車している。
走行技術が不確実性”が高く、経済性と事業計画が杜撰であり、“蛮行と言える国策事業”と断言できる。
不適正な環境影響評価や事業採算性では、国会や国民に対して、杜撰で虚飾な事業計画書を提出した。
当時の太田国土交通大臣(公明党)は、その真偽の程をどれほど適正に精査、審議できたのか?!
事業を認可した国交大臣は、鉄道法、全国新幹線鉄道法(全幹法)に違反していると、行政訴訟で告訴されている。
JR東海は、「参加人」として、毎公判で国土交通大臣に代わり、陳述している。
同社は東海道新幹線で得た利益からリニアに巨額の投資を行うが、多大な事業リスクを負うことになる。
証券市場は、同社が多額の長期借入金に対する金利上昇リスクも有しているので厳しく評価している。
これまで最高益を確保できたが、財政投融資3兆円が同社に実施されることになり、既に5000億円を数回に分けて投入された。しかし、株価は、他のJR各社に比べて割安に推移している。
投資家は、リニア事業に関して不確実性が多く、経営リスクが大きく、含み損失を見極めようとしている。
リニアを国策民営事業として単独企業が請け負った愚策な政策の中で、JR東海の将来は「厳しい影を落としている。」
2018年3月期の決算予想では、連結経常利益は、前期比11.5%減の4990億円に減る見通しを立てている。
(1) 超電導浮上方式の技術は未だ開発中であり、「安全神話」が潜んでいる。
・ヘリウムを使わない「高温超電導」の代替技術開発について、いつ、公開して、「安全安心」を保証できるのか?
・ガイドウェイに設置する膨大な数量の地上コイルなど保守管理は行き届くのか?
(2) 事故ある場合は、大規模な犠牲者を生むリスクを負っている。
・一瞬にして多数の犠牲者が生じて、人命などに多大な損害をおよぼし、取り戻せない事態を孕んでいる。
・乗務員数名が、山岳トンネルからの脱出、救助を万全にできるのか?
・全電源喪失に対して、また中央指令所からの遠隔制御は、完全に、無事故が保証されるのか?
(3) 環境大臣が「規模の大きさから万全の環境保全措置を講じることは困難である」と指摘したが、無視している。
・直下型の地震による、構造物にズレが生じる場合、リスクの評価をしているのか?
・トンネル発生土は、東京ドームの51ケ分、この内、搬出先がほとんど決まっていない。
無責任極まる事業を容認している国土交通大臣の責任は相当に重い。
(放射能廃棄物の処理先は、全く暗中模索で愚かすぎる)
・多数の指摘に対して瑕疵のある計画の修正や、問題点を解消する対策を実施しないままリスクを負い続けている。
(4) 活断層を貫通する山岳トンネル内などにおいて、想定の内外の事故ある場合、事故原因を究明できない危惧もある。
・責任の二重化があり、国土交通省とJR東海では、既に「責任の回避化、なすり合い」が見られている。
(責任の所在を明らかにできずに、損害賠償も不明確になることも原発と類似)
実験線の体験乗車を推進する山梨県は、乗客に対して「事故ある場合、人身の傷害補償について書面で提示していない」
JR東海と山梨県、国土交通省は、事故の責任と補償をどのように認識しているのか?
本線営業時には、航空機のような超高速の大量輸送乗り物が過酷な事故が発生する事前に、どのような補償条件を提示できるのか?
(5) 民意や有識者から指摘されるリスクや問題点を無視して、国策民営事業として「計画ありき」で猛進している。
国土交通省とJR東海はどのように結果責任をとれるのか? (原発再稼働のやり方と同様)
(6) 成長至上主義のもと、大手企業が利益を得る事業であり、自然環境や沿線地域と住民に甚大な影響や犠牲を強いることが明らかである。
(地域コミュニティーや住民の苦痛や暮らし、健康が不安の日々となり、犠牲となる)
(1) 国会議員、自治体の首長は、国土交通大臣とJR東海に対して、公共事業の「技術の信頼性、環境適応性、事業の経済性・採算性」について総見直しをさせる責務がある。
信頼性ある適正な事業計画と情報を、直ちに提出するよう要求するべきである。
(2) 国策民営事業に対して、見識を有する客観的な第三者機関により、事業の公正な総見直しを行うべきである。
リニアは、国民的な不利益があまりにも多く、自然環境を破壊し、地域や住民に犠牲を強いる蓋然性が大きい。
また、国土を改変して、巨額な事業の責任の所在についても明確化しておくべきである。
*科学技術への過信に関しては、超音速コンコルドや、高速増殖炉もんじゅの二の舞は許せない。
*杜撰な事業収支計画では、東京湾横断道路が代表例であり、需要量の予測が誤算で、当初計画比で38%程度、一日当たり1億円の赤字を続けている。
(3) 事業者は、指摘されている様々な問題点に対して、「国民の不安や危惧を払拭できるのか?」、
万全に事業遂行能力を整えているのか、適正な情報と真摯な回答を開示するべきである。
・地区を挙げてJR東海に質問をして、「まともな回答がないならば、説明会の開催を拒否する」山梨県の地域もある。
(4) 国土交通大臣は、杜撰な事業計画や環境アセスと虚偽の内容をもとに、判断を誤り、一民間企業に事業認可した重大な責任も問われている。
・国民が多大な不安や懸念を抱き、多大なリスクや危惧を有している「リニア事業」は、鉄道法や全幹法にも違法である。
(5) JR東海は、真摯に適正な事業計画を開示できないならば、社会的責任や企業統治力、危機管理能力について指弾される!
・同社は、これらの「不都合な真実」を隠し続けることは、公益性に違反し、経営リスクを抱えて、投資家からも、国民と新幹線の利用客からも厳しく問われる。
・不安や懸念を訴える沿線住民は、同社から適正な回答、情報を得られないので、暮らしや健康に犠牲になると
JR東海に不信感をもち、受忍限度を超える状況が生じている。
(6) 現段階で直ちに、計画の修正か、リニア事業を一端中止することが、国民と国にとっても、またJR東海にとっても、互いに歴史に残る英断であり、公益となる。
賢明な選択は、ルートを変更して、新幹線方式で、計画をあらためることである。
国の将来とJR東海にとっても、「条理にもとづき命運を適正に判断する」ことが、国交大臣と、同社経営者の社会的な使命であり、責務である。
東京電力の二の舞にならないように!
行政訴訟で国土交通大臣を告発:
国土交通大臣は、裁量権の範囲を超えて、多くの杜撰な根拠をもとに、不適正に事業認可を行った。
法廷において、この事業決定処分を早期に取り消すことを国民は待ち望んでいる。
以上、7/8から連載した「リニアは、国を揺るがす愚策な事業 13のリスク、甚大な懸念・危惧」について悲痛な訴えをご一読いただき有難うございました。
ご意見をお気軽にいただければ有り難いです。