甲府市中心市街地活性化

中心市街地活性化
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中心市街地の再生に向けて~認定基本計画の取り組み~

甲府市の認定中心市街地活性化基本計画に基づく活動について
合同会社まちづくり甲府 企画担当 岡 健司

「甲府市中心市街地活性化基本計画」は、平成20(2008)年11月11日に国の中心市街地活性化本部より正式に認定を受けた。
基本計画認定に向けて甲府市では中心市街地活性化基本計画策定委員会を設け、また法定組織である中心市街地活性化協議会は、本計画の認定前までは過去の再開発事業の際に設立したまちづくり会社(甲府中央まちづくり株式会社)に事務局を置いて基本計画認定に向けた取り組みを行ってきた。

このまちづくり会社は再開発事業を終えて、現在は駐車場事業を行うのみとなっていた為、中心市街地活性化協議会の事務局として、また認定基本計画事業を実施する組織として、新しいまちづくり会社の設立が必要となった。
このような背景もあり、甲府市、甲府商工会議所、地元金融機関である(株)山梨中央銀行、地元大型店、商店街ら12者が出資して平成20年6月に「合同会社まちづくり甲府」を設立した。資本金は430万円、事務局職員は3名と非常に小さな会社である。

事務局職員は設立当初から出資団体である甲府市、甲府商工会議所、(株)山梨中央銀行からそれぞれ1名づつ合計3名で事務にあたっている。事務所は甲府商工会議所の2階にある。まだ設立して3年程度の新しい会社であるが、昨年実施したものを中心に以下に事業内容を紹介したい。

1)甲府市中心市街地活性化協議会事務局の運営

平成19(2007)年4月13日に設立した甲府市中心市街地活性化協議会を平成21(2009)年4月1日より、当社が甲府中央まちづくり(株)に替わって実施主体となり事務局を担当してきた。今年度(編注・2011年度)は2回の協議会を開催した。

2)中心市街地再生モデル事業の実施

国の補助金を活用し、所有と使用の分離を促進すべく路地改修・ファサード整備・テナントミックスが一体となった事業の実施に向けて取り組んだ。具体的には平成19年に本事業のモデル地区を選定し、18名の地権者との合意形成を図り、当該エリアに求められる業種・業態を調査し、テナントの募集を行った。
本事業は平成23年度中に当該エリアの整備及び出店を目指して取り組んできたが、最大地権者との合意形成が難航し、事業の一部見直しを余儀なくされている。当地ではビルオーナーと商店街関係者がイコールではないため、共通の目標に向かって事業をすすめることが難しく、利害関係の調整など課題も多い。

3)一店逸品運動の実施

中心商店街の個店の資質向上とお客様が「どうしてもあの店のあの商品が欲しい、あの料理が食べたい。」というような人気店、人気商品、人気メニューを創出して、来街者増加を図るため、基本計画認定エリアの商店街加盟店を対象に16店舗(平成20年度16店舗、平成21年度16店舗)の参加店で以下の事業を実施した。
特に、今年度は、個店の点の活性化を線や面として波及させていくため、『逸品お店めぐりツアー』と参加飲食店による『ワンコインはしごチケット事業』を実施し、中心商店街での滞留時間を高め、全体の活性化に繋げていく事業展開を図った。
今年は参加店16店のなかで飲食店が多いことに目を付け、一店逸品『ワンコインはしごチケット事業』の名称で食べ歩きチケットを発売した。
4回目を迎える逸品の知名度を上げ、今まで逸品ツアー等に参加していただいた主婦層、年配の夫婦等だけでなくサラリーマン世代やOLもターゲットに広げる目的で実施した。
500円のチケットを6店分、6枚ワンセットで販売する企画で、1チケット毎に1店500円のオリジナルメニューが楽しめる。今までなんとなく入りづらかったお店も、チケットを持って気軽に食べ歩けるイベントとして30代~50代のサラリーマンやOLに特に人気が高かった。
また、各地で行われてる食べ歩きイベントのモデルケースともなるものであった。
また、参加加盟16店を業種やエリアなどを考慮して、逸品を楽しめるようにAとBコースに分けて、2日間4コースのお店めぐりツアーを実施した。チラシにはツアーに参加できなかった方も後にモデルコースとして楽しめるようなコースとして表示した。

4)100円商店街事業の実施

商店街全体を1軒の100円ショップに見たて、参加店舗の全店頭に100円コーナーを設置して、魅力的な100円商品を販売した。
なお、当事業の最終目的が、単に100円の商品を売ることでなく、100円という気軽に購入できる商品をルーツとして、いかに店内に足を運んでいただき、その他の通常商品の売上に繋げていくかにあるため、本事業発祥の地である山形県新庄市の例にならい
(1)100円商品は外に陳列すべし。
(2)外でお客様と会話すべし。
(3)100円商品の清算は店内ですべし
の三か条を基本原則に掲げ年間4回実施した。

5)中心商店街空店舗対策事業

空き店舗対策事業の一つとして、空き店舗情報の提供を行った。
 中心商店街の空き店舗情報を家賃別・面積別・商店街別などに検索できる当社ホームぺージを活用し、新規出店者などに空き店舗情報を提供、下記家賃補助事業に繋げ、空き店舗の減少に取り組んだ。
2つめに、中心商店街新規出店者に対する家賃補助事業を行った。
 家賃補助事業では、新規に小売業を始めたい方に積極的に空き店舗情報を提供し、最高6ヶ月間の家賃補助(家賃の半額最高10万円)を行った。昨年度は11店の新規出店に関して家賃補助を行った。
また、はじめて店をオープンする創業者については、家賃補助事業の相談等で来所した際、資金計画・融資・記帳などの指導を随時行い、当所が実施する創業塾等の研修会・セミナーを紹介し、起業家育成の一助とした。

6)農産物直売所 『山梨まんなか市場』 の設置・運営

甲府市中心市街地の空き店舗を活用し、県産農産物と加工品の消費者への直接販売と情報発信により地産地消の推進を図るとともに、関係団体と連携した集客のためのイベント開催等により中心市街地の活性化に寄与する為の農産物直売所を緊急雇用対策の補助金を活用してオープンし、店舗を運営した。
店舗の概要は以下の通り。

店舗の名称 山梨まんなか市場
所在地 甲府市中央1-4-7 店舗部分1階12.7坪、事務所部分2階12.6坪
従業員 人員4名(店長・総括マネージャー1名、集荷担当・販売員3名)
取扱品 山梨県産農産物(野菜・果物・花卉)常時約40品目、
    甲斐路の認証食品等県産加工品(甘露煮、ジャム、ジュース、きな粉、干ししいたけ等)常時約20品目
営業時間 午前10時~午後6時
定休日 オープンから約3カ月は無休で営業したが8月より火曜定休。年末年始(12/31~1/4)休業
オープン日 平成22年4月28日(水)

7)駐車サービスガイドマップの作成

甲府市中心市街地に所在する駐車場を調査し、名称・所在地・駐車台数・駐車料金・営業時間・精算方法などを把握し、中心街における車での来街者の受入れ態勢について現状を把握した。
調査の結果、91カ所、3,723台分の時間貸し駐車スペースがあることが分かった。
あわせて、商店の駐車サービス内容の調査を行った。来店者への駐車場対策として駐車サービス等を実施しているお店を調査し、契約駐車場の有無やお客様がお買い物をした際、どのような条件でお客様に駐車サービスを実施しているかを把握して、駐車場の調査結果と商店の駐車サービスの調査結果を重ね合わせてみた。
調査の結果、掲載の希望をとったところ、何らかの駐車サービスを行っているお店のうち130店舗(医療機関、街の駅等の施設含む)が掲載を希望した。
これらをもとに、甲府市中心商店街駐車場利用マップを作製した。調査によって、把握した駐車場と商店の内容をガイドマップに落とし込み、駐車場は91カ所、3,723台分、お店は130店舗を収録したマップを10万部作成した。
紙に印刷したマップやチラシについては、手にとってじっくり見ることができてPRの効果が高い反面、内容に変更があった際、対応が出来ないことなどのデメリットもあるため調査内容を網羅したホームページも作成した。
これにより条件変更にも対応するとともに、利用者のニーズ(一番近い駐車場はどこか、目的のお店はどこの駐車場と契約しているかなど)により駐車場が抽出できるようなシステムを整備したものとした。
ホームページへの掲載のため、現地調査に併せて駐車場の外観を撮影し、利用者の閲覧の便に供した。また、携帯電話でもパソコンで見るホームページのコンテンツを一部取得できるようにし、外出先やパソコンの無い環境での検索にも対応できるようにした。
 パソコン版  http://www.genkinamachi-kofu.com/acc_guide/index.html
 携帯版  http://www.genkinamachi-kofu.com/m/park/

8)ヴァンフォーレ甲府を活かした商店街活性化事業

サッカーJ1チームの地元ヴァンフォーレ甲府のパブリックビューイングを行った。
当日は甲府市主催の「甲府大好きまつり」と共同してイベントを実施、パブリックビューイング以外にも、ヴァンフォーレグッズ抽選会、シンガーソングライター神部冬馬によるライブなどを行いイベントを盛り上げた。
ヴァンフォーレ甲府については、今季は残念ながらJ2に降格してしまったが、引き続き中心商店街においてもサポーターとして盛り上げていき、商店街の活性化につなげていきたい。

9)ポイントカード事業

中心商店街から加盟店を募り、地元サッカーチームのキャラクターの愛称をとって「ヴァンカード」として事業展開している。加盟店での買い物500円毎に1スタンプ(ポイント)が押され、60スタンプ(ポイント)貯まれば、500円の商品券として、加盟店で使えるものである。
本年度については、カード普及促進企画としてスタンプラリーも企画しており、現在50店舗程度の加盟店を更に増やすことにより、加盟店同士の連携を図り、中心商店街の活性化を図っていきたいと考えている。

10)WORLD MUSIC FESTA @KOFU CITY 2011

例年秋に音楽イベントを実施してきたが、今年度は初の試みとして、夏に中心商店街の駐車場にて、野外音楽ライブを開催した。
内容はワールド・ミュージックと題して、ラテン民族音楽、インド民族音楽、和楽器によるジャズなどジャンルを問わない音楽イベントとした。また、ライブ会場には、各国飲食及び雑貨のブースを設け、食事をしながら、ライブ演奏を味わえるものとした。また、夜は駐車場近くにあるライブ会場でジャズシンガーのサリナ・ジョーンズのライブが行われ、それとコラボレーションする形でイベントを実施した。

11)甲府ジャズストリート2011

甲府ジャズストリートは今年で6回目を迎える。甲府市中心街には、ジャズのライブ演奏が楽しめる飲食店、ライブ会場が集積している。芸術・文化を切り口に中心商店街の活性化を図るため、5店舗同時開催のジャズライブを開催した。
当日は各店3ステージを行い、5店舗共通のパスポートチケットにより、観客は自分が好きなライブ会場でジャズが楽しめるものとした。目玉ミュージシャン2組(俳優・渡辺裕之がドラムを務める「KOFU JAZZ STREET 4」、村上“ポンタ”秀一)&近藤房之介の「ジャズストリート2011 桜座スペシャルUNIT」)を中心に、例年にないイベントの盛り上げをみせ、観客は各ライブ会場で食事を取りながら、ライブ演奏を楽しんだ。

以上は当社の事業内容の一部であり、その内容は農産物直売所の運営や賑わい創出のためのイベント事業まで多岐にわたるが、主たる収益事業がなく、自主運営は難しい状況にある。このため事業費を捻出するために、補助事業をこなすだけになっており、腰を据えてハード事業などに取組む素地ができていないのも現実である。
認定基本計画の効果測定期間は平成25(2013)年3月末までであるが、計画期間後も商店街の活性化に役立つ会社であり続けられるよう収益事業の確保と会社の自立を目指していきたい。
(おか けんじ)