甲府市@山梨県のICT社会

地デジ移行後もCATVはアナログ併存

2009年01月20日、日経ITProサイトで、「CATVのデジ・アナサービスで心配される懸念材料とは」という記事が出ています。第9次行動計画に従って『日本ケーブルテレビ連盟は「デジタル・アナログ変換サービス」の開始についての検討を進めている。』と書いた後、

ところが一部のCATV関係者からは,「デジ・アナ変換サービスの導入は業界にとって必ずしも良い話とは思えない」という声が上がっている。地上アナログ放送の停波後もCATVで地上波放送を視聴できるということになれば,「デジタルサービスの営業にブレーキがかかる」ということにもなりかねないからである。
 デジ・アナ変換サービスの実施には相当の周波数帯域が必要になる。仮にデジ・アナ変換サービスで10チャンネルを提供するとしたら,60MHzの周波数帯域が必要になる。CATV業界にとっては本来,早期にアナログサービスを終了させて,空いた帯域をデジタルサービスのために活用したいところである。多チャンネル放送のハイビジョン・チャンネルを増やしたり,ブロードバンド・サービスを高速化したりするなど,デジタル・サービスの強化によって加入者を増やすという戦略だ。
 しかし,アナログ放送受信機が引き続き利用できるとなると,「2011年7月以降もデジ・アナ変換サービスで地上波放送を視聴すればいい」と考える人が増え,デジタル放送受信機の購入を先送りする動きにつながりかねない。

これでこの問題の結論は出てしまったようです。
2009年01月19日、総務省サイトから地上デジタル推進全国会議の「デジタル放送推進のための行動計画」、その中で該当すると思える記事がありました。読売新聞が報じたような詳細記事は探し出せません。
デジタル放送推進のための行動計画 平成20年12月1日 デジタル放送推進のための行動計画(本文)(第9次)PDFファイル 34/54 ページ から

⑤ デジアナ変換サービスの暫定的導入に関する検討
暫定的措置としてケーブルテレビのヘッドエンドにおいて地上デジタル放送をアナログ方式に変換して再送信するサービス(デジアナ変換サービス)は、残存するアナログ受信機器対策として有効であるなど地上デジタル放送への円滑な移行に資するものである一方、ケーブルテレビ事業者として、運用上の課題、制度的課題など条件整備に向けた課題が存するため、同サービスの暫定的導入についてそれらの課題の検討を行う。

第9次デジタル放送推進のための行動計画の付属資料6から
2009年
・2月 総務省「テレビ受信者支援センター」の拡充(全国50か所程度)
・3月 総務省「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」
・春 情報通信審議会第6次中間答申
・6月 関係省庁連絡会議アクションプラン2008の見直し
・12月 第10次行動計画

2009年1月8日の読売新聞のネット&デジタル ニュースを別なソースから確認しようと試みましたが、総務省の発表記事、あるいは社団法人デジタル放送推進協会 Dpa、更には日本ケーブルテレビ連盟にはこれに該当すると思える記事がありません。(2009.01.10 現在)

その他、私が常に確認しているサイトでは、
毎日新聞のIT・家電 アーカイブ
朝日新聞のデジタル 記事一覧
日経ITProの放送カテゴリー
などでも当該記事は出ていません。これほど重要な情報が総務省公式発表によるものなら各紙とも取り上げるはずです。おそらく読売新聞が独自ソースから得た情報と考えられます。
総務省がCATV業界との間で詰めていく計画については公式発表があると思いますのでそれは確認できると考えています。

尚、インプレス社のAV Watchには以下の記事がありました。
2009年1月9日−地デジ受信機の'08年12月の普及数は223万台で過去最高 −NHKとJEITA統計。NHKは地デジ自主共聴の支援策も発表との記事。これには以下のようなNHKの「地デジ放送自主共聴の支援策」も発表されたとあります。

・共聴受信点での地上デジタル電波の受信調査
・デジタル化改修のための技術的な説明や手続きの支援
・施設を整備し維持する経費の一部助成
 上記に関する問い合わせ窓口も設置する。申請の受付は1月13日(火)から開始し、助成金の支払いは4月1日(水)から行なうという。ほかにも、NHK ではパンフレットや利用の手引きを用意し、加入者へ順次配布するとしている。また各市町村や地方総合通信局にも、パンフレット等を備え付けて対応する予定だという。

NHKの発表資料は Dpa の12月末現在のデジタル放送の普及状況(速報値)発表にも掲載されています。支援策については AV Watch の記事からリンクされていますが、(PDFファイル 2,078KB)地上デジタルテレビ放送の難視聴地域における自主共聴への経費助成制度利用の手引き、このファイルは「NHKホームページ」−「経営情報」−会長会見資料(会見時に配付している資料) としてリストから確認できます。
2009年1月8日の読売新聞記事、CATVはアナログ併存、地デジ移行後3〜5年(以下に引用)

政府は、ケーブルテレビ(CATV)利用世帯を対象に、2011年7月の地上デジタル放送(地デジ)完全移行後も、アナログ放送を受信できるようにする措置を取る。
景気悪化の影響で地デジ対応機器の普及が遅れているためで、移行後3〜5年間の時限措置とする方針だ。
CATV加入世帯は現在約2200万あり、加入可能世帯を合わせると約4000万世帯が対象となる。
具体的には、地デジの電波をCATV会社でアナログ波に変換し、デジタルとアナログの両方の電波信号を家庭へ同時に送る。各世帯では、テレビが地デジに対応しているかどうかにかかわらず番組を見られる。

政府は2009年3月までに、CATV会社約330社が加盟する「日本ケーブルテレビ連盟」などに新対策の実施を要請し、夏までに詳細を詰める。CATV会社には設備への追加投資などで計30億円を超える負担が見込まれており、政府として支援策を検討する。
政府は地デジ完全移行時までに、受信機器の普及台数を1億台に引き上げる目標を掲げている。しかし、北京五輪などで普及の加速を見込んでいた2008年に期待ほど伸びず、同9月末時点の普及台数は4,113万台、世帯普及率は約47%にとどまった。

これでまた予定外の税金・補助金が使われます。
CATV会社には設備への追加投資などで計30億円を超える負担が見込まれているそうですが、デジタル→アナログコンバーターでしたか、各家庭に配付するとかいう話はどうなったのでしょう。

□ 地デジ対応で料金改訂など見込んでいた会社はどういう料金体系にするのでしょうか。
□ CATV会社約330社で30億円の追加投資で済むのでしょうか? デジアナ併用器材設備に1千万円/社程度なのでしょうか?
□ 現在アンテナで電波を受けている家庭は地デジ対応テレビでしか見られないことになります。電波が届く地域ですからCATV会社は無いでしょう。アナログとデジタルではアンテナが違います。家計に無理してもテレビとアンテナを買い替えねばならないのは不公平だという声も出てくるでしょう。

 

ICT甲府のブログに2009.01.09 地デジ移行後もCATVはアナログ併存として掲載したものを転載、編集加筆しています。

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